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2007年度第1回運営委員会(2006/11/17)

21-Nov-2006





味の素労働組合会議室で行われた標記委員会の報告を下記の通り致します。
(日 時)2006年11月17日(金)  第1部:15:00−16:45
第2部:16:50−18:15
(出席者)畑木、江森、長島、植田(フード連合)、郷野、大場(UIゼンセン同盟)、
伊勢(サービス連合)、見里、高田(JCC事務局)、合計9名(敬称略)

第1部
報告事項
1. A/P女性会議報告

 10月9日、インドネシアのバリでA/P地域総会出席の女性代議員を対象とした会議が開催され、UIゼンセン同盟中野国際局部長、満田フード・サービス部会執行委員(リゾートトラストユニオン書記長)、フード連合西野全森永労組中執、斉藤味の素労組本社支部事務局長の4名が出席した。
● 活動報告として、フィリピン、マレーシア、インドネシアの3カ国で実施している女性教育プロジェクト、各小地域母性保護ワークショップ、女性参画に関する調査などの報告がされた。
● 2006〜2010年の女性委員会の活動計画として、@労働の非正規化・外注化、A女性指導者の増加、B多国籍企業における男女平等、Cインフォーマル・セクターの組織化、の4点を設定した。
● 地域総会への提起として、@女性と不安定な仕事、A母性保護、B女性に対する差別的法制度・税制、C女性政策実施強化のための作業グループ、Dインド茶農園産業の危機、E女性の労働組合への参画、の6つの決議を採択した。
● また、女性委員会を規定する地域規約の改正と、総会議事運営規則の一部として使用する会議の際のセクハラ防止に関する政策を採択した。

2. 第5回IUF/コカ・コーラ協議会報告
10月20日、アトランタにて表記会議が開催され、UIゼンセン同盟瀬古東京コカ・コーラ労組委員長が出席した。
● @労働組合権および雇用権の課題、Aコカ・コーラ・システムにおけるリストラ、アウトソーシング、労働の非正規化に関する2点が従来のように情報共有され、必要なものに関しては改善を申し入れた。
● ザ・コカ・コーラ・カンパニー(TCCC)の北米グループの社長兼最高執行責任者(COO)で、TCCCの上級副社長兼最高顧客担当役員のJ.アレクサンダーM.ダグラス・ジュニア氏(通称サンディー)が出席し、北米におけるマーケットに関するプレゼンを行った。
● IUFとコカ・コーラ間の国際枠組協約に関するIUF提案を、会社側に手渡した。具体的な論議は次回以降行われる予定。

3. HRCT総会報告
11月5日にHRCT三役会、11月6日午前にHRCT委員会、同日午後から11月8日までHRCT総会が開催され、サービス連合の秋山副会長、帝国ホテル労組田上副委員長、都ホテル労組井土委員長、リーガロイヤル労組西川委員長、JCC見里が出席した。
● IUF世界総会を4ヵ月後に控え、世界総会での正式な決定に付すべき案件が討議・採択された。こうした意味では、適切なタイミングでの開催となった。また、各議題項目に関して、具体的な行動目標が書記局から提案され、それに基づいた論議および提案の採択ができ、実りある総会であった。しかし、行動計画の内容が多すぎて、全て実行できるのか疑問に思える感もある。
● サービス連合の秋山副会長(JCC副議長)がHRCT第2副議長に再任された。議長はアルゼンチンUTHGRAのノベルト・ラトッレ財務部長、第1副議長はノルウェーHRAFのエリ・リュングレンが新たに就任し、長年議長及び第1副議長職にあったキプロスOEXEV-SEKのニコス・エピスティシオウ前書記長、スウェーデンHRFのブリギッタ・キールベルグ前委員長が退いた。

4. NGOとの協働
(1) NGO-労働組合国際協働フォーラム
● JILAFが11月末から招聘する「HIV/AIDSと職場」チームとのシンポジウムに関する打合せを行った。また、旧ミドリ十字労組で、現三菱ウェルファーマ労組の坂部副委員長から、同労組の取り組みについてJILAFと共に話を伺った。
(2) 児童労働ネットワーク(CL-Net)
● 10月28日、同日行なわれた総会の前にCL-Net学習会として、フリー・ザ・チルドレン・ジャパンが招聘していたフィリピンの元児童労働者ピアさんをお招きし、話を伺った。
● 10月28日、CL-Netの総会が味の素労組会議室で開催された。2ヶ月に1回の学習会の実施や、6月12日の「世界児童労働反デー」での活動などを、新年度の活動を採択した。

5. 争議支援・連帯活動
● インド西ベンガルで、同国の多国籍貴複合企業のタタ・グループが軽自動車工場を建設するために、420ヘクタールの農地から6,000名の農民を追い出そうとしていることに対し、座り込みの抗議を行っていた7,000名の労働者と農民が、9月25日に警察に暴力を振るわれ、70人の男女・子どもが負傷し、内1名の若者が死亡した。これに対し、西ベンガル州政府及びタタ・モーターズ社長宛に抗議すると共に、肥沃な農地ではなく、別の場所に工場を建設するよう要請した(10月17日)。
● コロンビアの農業労組SINGRAINAGROの活動家が10月11日に殺害され、その後も組合執行委員に対する脅迫や強盗などが起きた。コロンビア大統領及び政府人権プログラム担当局長宛に、組合員の保護を求める要請文を送った(10月20日)。

6. 各組織報告
フード連合:春闘の討論集会が12月4〜5日に、100名規模で実施する。産別としての方針は1月29日の中央委員会で決定する予定。
UIゼンセン同盟:春闘論議は、11月1日のフォーラム、全国支部長会議でスタートし、7〜8日には業種別部会長会議で議論を行った。
サービス連合:HRCT部会総会にサービス連合から4名出席してきた。

7. 今後の予定
● JCC30周年記念シンポジウムおよびパーティー:11月27日、芝パークホテル
● 国際協働フォーラムHV/AIDS写真展:11月27日〜12月7日、総評会館1階
● JILAF「HIV/AIDSと職場」シンポジウム:12月6日、UNハウス
● (AWTG総会:12月11〜12日、セビリア) 日本からの出席はないが、意見書は出す。
● NGO-労働組合国際協働フォーラム全体学習会:12月14日、連合
● JCC三役会・第2回運営委員会:12月15日、味の素労働組合会議室

8. その他
● 10月24日、「UNI-LCJ日本型グローバル協定に関する小委員会」にてIUFの取り組みを報告
● 国際労働組合総連合(ITUC)結成大会情報
● タバコ部会の委員会開催の確認を本部書記局にするよう、運営委員会でJCC事務局に要請があった。

協議事項
1. 予算の再承認

10月8日の拡大運営委員会で一部の記載ミスがあった2007年度予算に関し、修正した予算を再度承認を行った。

2. 第11回A/P地域総会報告とフォローアップに関して
 10月10-12に、インドネシアのバリで第11回地域総会が開催され、JCC事務局2名も含め23名の代議員及びオブザーバーが出席した。
(1) 報告
● 今回の総会は、「緊急課題:グローバルな展開(グローバル・リーチ)を持って勝利する」をテーマとして実施され、今後の活動の優先課題として、更にグローバル・リーチを広げていく事を確認した。
● 総会出席者は過去最高の172名となり、前回2001年のマニラでの地域総会もそれまでの最大規模の総会であり、地域組織として着実な拡大をしている。
● 総会1日目は、活動報告が中心となった。過去の活動報告は、従来マ・ウェイ・ピン地域書記が一人で報告していたが、今回は担当する書記局メンバーが分担して報告し、全体として活動的な報告となった。
● 総会2日目は、ほぼ1日を使って「人権、民主権、労働組合権」に関する報告及び議論を行った。特に中国に関してはハン・ドンファン氏(チャイナ・レーバー・ブリテン)とエリザベス・タン(HKCTU事務局長)の2名がゲスト・スピーカーとして報告し、改めて中華全国総工会に対するノー・コンタクトを呼びかけた。今回採択された決議にはこれらの基本的な権利に関するものも多く、議論と共にこれら決議の採択も同時に行った。
● 総会3日目は、「企業の金融化」をテーマとしたセッションで報告と議論がなされた。最近の企業経営を取り巻く環境変化と、それが労働者及び労働組合に与える影響を取り扱ったタイムリーなテーマであり、組合の戦略を論議・共有する重要な機会であった。
● 決議は全部で24件と今までになく多く、取り組まなくてはならない課題の多さが認識されたが、同類のテーマを扱った決議を集約してよりまとまりのある強力な決議にする必要があったように感じた。一方で、加盟組織の関心の高さを示していたことは評価できる。
(2) 地域委員選出の際に提起された課題
● 韓国KFSUより、北東アジア間の情報交換の仕組みを検討するよう提起された。具体的には地域委員会の論議の共有などが中心となる。出席したJCC三役からも、この提起を支持する意見が出された。今後どのように実現させていくか。経費、タイミング、頻度、場所、地域書記局の関与などのラフな検討を行い、韓国及び香港の加盟組織に提案したい。
◇ 母性保護に関して昨年実施したような、北東アジア・レベルでのワークショップなどのイベントを継続的に実施して欲しいとの声が加盟組織内にある。そうしたことも含め、地域書記局と相談しながら検討を進めていく事を確認した。
● 韓国KWTUより、北東アジア選出の女性委員メンバーを、次回総会(2011年)以降ローテーションとしたいとの意見が出された。これに関して、JCC運営委員会として意見交換する。
◇ ローテーションを検討する際に、会議における議論の継続性の問題とともに、会議に出席するための旅費を負担できるかどうかも問題としてある。実際には2011年以降の対応であるため、現段階で結論付けることはないが、こうした課題を共通認識として、今後の検討にあたることが確認された。
(3) 採択された決議のフォローアップ
 決議では、以下の事を加盟組織に要請している。これらの要請に対する対応は、最終的には加盟組織ごとの判断に委ねられるが、JCCとして共通して対応とれるものに関して意見交換し、必要なものに関しては対応を決めた。
決議2:地域活動基金の拠出
 → JCCは既に義務を果たしている。対応済み。
決議3:契約労働者の組織化の強化。
 → 各組織の通常の組織化努力の中で対応する。
決議4:スリランカの農園での雇用が外部委託、契約、請負契約化が進むことに関して、こうした使用者を支持するスリランカ政府に国際圧力を与える。
 → 地域書記に地域内の加盟組織で使用する雛形レターを用意してもらい、それに則って対応する。
決議5:ホテル産業で外部委託及び非正規雇用化が進むことに関して、この憂慮すべき傾向を逆転させ、ディセント・ワーク、非正規化を確保する地域のキャンペーンを持続する。
 → サービス連合内で決議の内容を共有していただき、必要に応じてご対応いただく。
決議7:組合つぶし行為が続くパキスタンのパールコンチネンタル・ホテル・カラチにおける組合の権利を求めるキャンペーンを継続して支持する。
 → 従来どおり、抗議文・連帯文などの支援要請があれば対応する。
決議8:中国で逮捕された労働組合活動家を即時釈放し、結社の自由を求めるキャンペーンに積極的に参加する。
 → 総会の事前論議では、中国問題は各加盟産別の判断に委ねて、JCCとしての統一見解をまとめられなかった。ただし、本決議に関しては、グローバル・ユニオンなどの枠組で連合が支援するキャンペーンに関しては、JCCとしても統一的な対応をしたい。また、ハン・ドンファン氏からの提起に応え、中国との交流の際に香港との意見交換も同時に検討したいとのフード連合からの提起もあり、加盟組織の必要に応じてJCC事務局として対応する。
決議9:韓国KCTUが提案する11月15日の「韓国における労働組合に対する抑圧を求める国際行動デー」に向けて行動する。
 → 既に11月15日が過ぎてしまったが、JCCとしては特別な行動を行わなかった。
決議11:@組合員の意識喚起を通じたビルマの民主化キャンペーンの支持、Aビルマの全ての拘束されている組合役員、政治リーダー、活動家の釈放に向けた働きかけ、Bビルマの亡命労働組合の、本国及び亡命先の国における労働者の権利を求める闘争支援、Cビルマの観光キャンペーンのボイコット支持、Dビルマ投資撤退キャンペーンの支持。
 → 連合およびビルマ日本事務所を通じた支援を継続して実施する。
決議12:タイにおける新たに芽生える民主主義と人権運動を、あらゆる可能な手段で支援する。
 → 基本的には、新たに誕生した食品労連を支援することで、この決議に対応する。
決議13:不安定な雇用で働く女性を組織化し、不安定雇用に関する新たな戦略、連携、連帯行動の形態を開発するという課題に、継続して取り組む。
 → 決議3の対応と同様に、各加盟組織の組織化努力と共に取り組みを行う。
決議14:労働組合の「犯罪化」および結社の自由と闘うインドネシアの加盟組織と、その他の同国の組合が展開するキャンペーンを積極的に支持する。
 → 具体的な要請事項があれば、JCCとして対応する。
決議17:オーストラリアの「ワークチョイス」法の撤廃キャンペーンに連帯を表明し、オーストラリアの加盟組織を支援する。
 → JCC事務局より、オーストラリアの加盟組織に対し、連帯文を送る。
決議18:母性保護に関するILO第183号条約の批准、および育児休暇の法改正、その他の家庭に優しい政策に向けた国レベルでの現行キャンペーンを支持し、貢献する。
 → 連合と連携し、連合の政策制度要求の中で実現を図る。
決議19:立ち退きを強いられている西ベンガル州農業労働者の運動支援の連帯を表明する。
 → 抗議文をすでに送付した。
決議22:危機的状況にあるインドの紅茶産業労働者の闘争を継続して支援する。
 → 継続して、抗議・連帯文などの支援要請に対する。
決議23:全てのアジア太平洋地域レベルおよび国レベルの会合における女性参加率を50%に設定し、この目標に向けて具体的措置をとる。
 → 各ジェンダーとも4割を切らない様に努力するというIUF全体の政策との整合性と、それを踏まえた決議委員会での議論の反映を再確認する。
(4) A/P地域加盟組織からの個別支援要請
 地域総会の際に、以下の個別支援要請があった。この要請に関して議論し、以下のように対応する事を決めた。
● ジャカルタのSOGOで来年2月撤退により500名の従業員の解雇が予定されている。ジャカルタSOGOを組織するのは、ホテルを含む複合ビル全体を組織するインドネシア独立ホテル労組FSPM。同労組より、日本からの対応を求められる。
 → FSPMに対しては詳細を記述して送るように求めた(未受領)。一方、UNI-LCJには第一報を入れたところ、既にジャカルタSOGOは売却されていて、日本の資本は入っていないとのこと。
● インドのコーヒー農園労組NPWUより事務所の改修および会議室の新設費用の支援を要請された。合計20,000ドルのところ、25%は同労組が負担し、残りをJCCが支援してほしいという提案内容。
 → インドには多くの加盟組織があり、全ての要請に対応することは不可能なので、AP地域書記局と調整する。

3. IUF世界総会に向けて
(1) 視察団の編成に関して
 世界総会に合わせて視察団の編成に関し、各加盟組織で検討してきた内容を踏まえて、JCCとして視察団を編成する事を決めた。次回運営委員会(12月15日)でラフな日程案を決定し、1月26日の運営委員会で募集要項を決定する。
(2) 日本加盟組織の代議員数の確認
ホテルの確保のため、本部書記局に11月30日までに出席者の連絡をすることになっている。各組織の出席者を代議員およびオブザーバーに分けて、11月28日までにJCC事務局までにご連絡いただきたい。具体的な名前が決まらない場合でも、人数の確定をお願いする。
組織名 加盟登録人員(2005年10月現在) 代議員数(カッコ内は女性)
フード連合 94,000人 7人(3人)
UIゼンセン同盟 50,000人 5人(2人)
全国農団労 15,000人 3人(1人)
サービス連合 11,000人 3人(1人)
(3) 決議案に関して
 各組織で検討してきた決議案に関して協議・検討する。尚、事務局から提案した、次の3点をJCCからの決議案として提出すべく、文書化することが承認された。次回運営委員会(12月15日)までに具体的な文書をメールにて確認し手頂き、最終的に次回運営委員会で確定した後、12月19日の提出期限までに本部書記局に提出する。
 尚、3番目の決議案に関しては、流通部門も同一組織内に抱えるUIゼンセン同盟より、文面によっては組織的な合意を取れない可能性もあり、場合によっては提案組織とならない事が表明された。
@ アジアの民主化に関する決議案(地域総会を受けて、地域のリーダーとして提起する)
A 食の安全に関して(前回総会の2002年以降、BSE、鳥インフルエンザなどの問題が日本でも起きた事を踏まえ、世界で共有すべき課題を提起する)
B 流通産業との公正な関係構築(今回の総会でもスウェーデン食品労組が論議テーマに上げるよう要請しているが、日本での取り組みを踏まえた決議案を提起する)
(4) 日程の確認
2007年3月16日(金) 09:30〜17:00 女性会議(総会の女性代議員対象)
2007年3月17日(土) 09:30〜17:00 女性会議(総会の女性代議員対象)
2007年3月18日(日) 10:00〜17:30 三役会
2007年3月19日(月) 09:30〜13:00 執行委員会
15:00〜17:00 総会−開会式
2007年3月20日(火) 09:30〜17:00 総会−本会議
2007年3月21日(水) 09:30〜17:00 総会−本会議
2007年3月22日(木) 09:30〜17:00 総会−本会議
2007年3月23日(金) 09:30〜12:30 HRCT部会委員会
14:30〜17:30 AWTG部会委員会
(5) その他の要請事項
以下の要請事項が出ているので、ご確認いただきたい。これらの対応が可能な組織は、JCC事務局までご連絡いただきたい。
@ 組合旗および横断幕:2007年1月末日までに本部書記局へ郵送
A 現在進行中の争議や、組合の歴史・文化、労働者の権利、雇用、組織化などで達成したことなどに関する写真やビデオおよびオーディオ資料:2006年12月末日までに本部書記局へ送付

4. 30周年企画
11月27日の30周年企画に関して、実行スケジュールおよび当日の役割分担に関して、最終的確認を行った。

5. 海外労働学校に関して
(1) 募集に関して
過去2年間と同様、単組の参加者の上限を2名とする事を確認した。
(2) 今後の手続きに関して、以下の通り確認した。
1月26日:運営委員会で募集要項の決定
1月29日(月)〜2月28日(水):募集期間
3月5日:運営委員会で参加者の確認
4月20日:参加費の支払期限、および運営委員会で全体の進捗の最終確認
5月8日:事前勉強会
5月16日(水)〜27日(日):海外労働学校実施


第2部:勉強会
「現代中国の労使関係」:日中技能者交流センター 山田陽一常務理事
▽ 日中技能者交流センターに関して

● 日本語の教師派遣:100名/年
● 研修生事業:3,000名/年(1年研修+2年実習:但し、食品産業は学ぶ技能が低いので1年の研修のみとされている)研修生は2ヶ月の日本語教育の後、研修先に派遣される。
● 造船業などの日本の技能は高いが、技能工の高齢化が著しく、中国からの研修・実習生が重要な労働力となっている。
● 研修生は残業できないことになっているが、実際には実習生との切り分けが難しい。研修政と実習生の区分けは日本側の一方的な思惑であるので、違法労働とならないようにするためにも、制度の見直しが必要であろう。
▽ 中国経済と雇用の全体的状況
● かつて中国は日本を通じて世界の経済や技術にアクセスしようという姿勢であったが、1978年以降の改革開放以降、着実に経済成長し、現在はGNP総額が世界6位で、外貨準備高も最近日本を抜いて世界1位となった。これによって、今では「日本、何するものぞ」という態度が、経済でも政治でも見られる。
● 中国は経済も労働も典型は不可能である。沿岸部と内陸部の状況に大きな差があり、法の実施状況にも差がある。さながら合衆国のような状況にある。
● 多くの日本企業が進出しているが、全般的には中流階級の購買能力が伸びていることから市場がタイトとなっており、質が悪くても製品があれば何でも売れる状況の中で、日本企業は苦戦している。
● 現状が良いか悪いかという絶対的基準ではなく、かつてと比べて今どちらの方向に向いているかを見て、判断すべき。
● 雇用面では、少子化の進行に伴って、熟練した技能工が不足しており、技能工の質の低下が著しい。
▽ 労働法制の再整備と農民工問題
● 以前は、労使関係は存在せず労政関係のみであったが、市場経済の導入によって無理やり使用者を設定して、労使関係を作り上げた。労働法制も、ILOや欧州の真似で形を作ったが、労使関係の経験がないため、行政指導で事項しているのが実態である。経済社会の現実展開に、労働などの社会問題が追いついていけない実態が露呈している。
● この事は労働協約についても同じである。現在7千万人が70万件の労働協約にカバーされているというが、政府主導のキャンペーンで労働協約締結が進められ、企業経営者は何のために労働協約があるのか理解していないケースが多い。余りに急ぎすぎたために、労働協約が形骸化している。労働協約の内容は福祉が中心である。
● 中華全国総工会の上部は労働法制や労使関係の重要性を理解しているが、現場レベルでは経営と工会、更には党との分化が進んでいないという実態がある。従って、企業に対して労働者の権益が守られておらず、労働者の不利は変わっていない。
● 現在「労働契約法」の最終的検討が進められているが、個別労働者の権益に関する件も工会に相談しなくてはならないという条項や、労働契約がない労働者も労働協約があるものと見なす条項を含め、外資系企業にとって問題になる点がたくさんある。この法案が可決されることは間違いない。
● 中国経済の強みは、農民戸籍のまま沿岸部に出稼ぎに出る農民工の安価な労働力を豊富に使用してきたことにある。しかし、2億人いるという農民工の社会的立場は、低賃金、失業保険などには入れない、子供を連れて来ても学校に入れられないなど脆弱であり、彼らの戸籍問題を放置しておけば今後この制度が崩壊するであろう。
● 中華全国総工会は農民工の23百万人を組織し、更に毎年8百万人ずつ組織して、農民工の組織率を60%まで引き上げるとしている。しかし、組合員の権利と義務の面で課題は大きい。
▽ 労使関係の現実
● 90年代、総工会の組織人員は減少していたが、2000年以降組織化に力を入れ、急激に組織人員が伸びている。現在は1.5億人が組合員である。中華全国総工会の主な組織化のターゲットは、非公有部門と農民工である。しかし、非公有部門の雇用数の伸びが大きく、実態はあまり伸びていない。
● 近年、賃金未払いなどの労働争議の件数が急増しているが、個別の紛争ではなく3名以上の集団労使紛争の件数の伸びが激しい。集団紛争といっても工会が主導するものではない。工会が紛争当事者になることは労働法で想定されていない。
● 労働法は「調和のとれた労使関係」を構築するとあるが、これは憲法では認められているストライキ権を許可しないということである。しかし、労災、国営企業の大量解雇、未払いなど、中国の権利意識も高まってきており、集団紛争を止めようがないのが実態である。
▽ 「全球化」:グローバリゼーションへの社会的対応
● WTOの加盟によって経済的な調整は進んできたが、労働などの社会的側面の調整は行われておらず、課題となっている。
● ILO条約は24の条約を批准しているが、結社の自由および団体交渉権を規定した87号、98号条約は未批准である。また、強制労働に関する23号、105号条約にも批准していない。
● 国際的な動きがプレッシャーとなって、CSRに関しても全国会議やセミナーなどを開催しているが、現実の流れについていけず、ここでも行政が主導する形で進んでいる。
▽ 質疑応答
● 争議を主導するのはどのような人か?
 → 労働者の中の血気した人たちだろう。しかし、あくまでも個々に起きており、争議間のネットワークにはなっていない。
● 独立した労働運動を行うと国家転覆罪などに処されていたが、争議が多い中で実態はどうなっているのか?
 → 90年代初頭は争議が原因で処罰された者が結構いたが、今は余りにも多く、全てに対応していないのではないか。
● 意識が高まっているようだが、独立した労組がでてきているのか?
 → 結社の自由がない状況で独立した労働組合は存在できないが、総工会の中で労働者を守らなければならないという意識はあるようだ。

以上