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2007年度第2回運営委員会(2006/12/15)

19-Dec-2006





味の素労働組合会議室で行われた標記委員会の報告を下記の通り致します。
(日 時)2006年12月15日(金)  第1部:15:05−16:40
第2部:16:50−18:00
(出席者)畑木、江森、長島、植田(フード連合)徳田(UIゼンセン同盟)、大谷(全国農団労)、
秋山(サービス連合)、見里、高田(JCC事務局)、合計9名(敬称略)

第1部
報告事項
1. JCC創立30周年記念行事報告

 11月27日、東京の芝パークホテルにおいて、JCC創立記念シンポジウムを14:00〜17:00、記念パーティーを18:00〜20:00の時間で開催した。シンポジウムには73名、パーティーは106名の参加があった。シンポジウムは、第1部でロン・オズワルド書記長およびマ・ウェイ・ピン地域書記による基調講演を行い、第2部でCSRに関するパネルディスカッションをコーディネーターに連合副事務局長の逢見氏、パネリストに創価大学経営学部栗山教授、日本たばこ産業海SR推進部篠原部長、IUFロン・オズワルド書記長を迎えて行った。
基調講演のテーマ、特にマ・ウェイ・ピン地域書記にお願いした「アジア太平洋地域の組織化の現状」は、もう少し一般参加者の興味を引く内容にすべきであったとの反省がある。シンポジウムの報告書は、冊子にして年明けに発行する。現在、原稿を録音したテープから起こしているので、講師の皆さんにチェックをお願いする予定である。

2. NGOとの協働
(1) NGO-労働組合国際協働フォーラム
● 12月1日の「世界エイズデー」にあわせ、11月27日〜12月7日に総評会館1階ホールで写真展を開催した。
● 12月1日に、連合北海道ブロック「セイフティネットワーク集会」で見里が講演を行った他、連合愛知ではNGOシェアの山口事務局長が講演を行った。
● 12月6日、UNハウスで開催されたJILAFによる「HIV/AIDSと職場」招聘チームからの報告を中心としたシンポジウムに、NGO-労働組合国際協働フォーラムとして参加し、日本の状況とフォーラムの活動について発表した。
● 12月14日、国際協働フォーラムの全体会議および交流学習会が開催された。全体会議では前年度の活動および決算報告、今年度の活動方針と予算が報告された。交流学習会はNGOのシャプラニールから、バングラデシュの初等教育普及に関する成功と課題について報告があった。
(2) 児童労働ネットワーク(CL-Net)
● 12月12日、「インド児童労働の予防・リハビリ最前線」というテーマで学習会が実施された。

3. 争議支援・連帯活動
● 韓国のロッテホテル・ソウルおよびロッテホテル・ワールドで、過去に部門ごと下請け会社に移管されたハウスキーピングが、別の下請け会社との下請契約に変更となり、その際ハウスキーピングの労働者は新しい下請け会社と面接を強要され、組合役員が解雇された。これに抗議して、サービス連合の協力も得て、日本の主要ホテルと共に主要な旅行会社も組織している事を明記した抗議文をロッテホテル経営陣に送った。(11月24日)。
● 前回運営委員会で報告したインド西ベンガル州の政府による農地接収に対する抗議運動は、11月20日に政党と労働組合による「原子力発電に反対し生活と糧を守る委員会」の結成に発展したが、政府は硬化した態度を崩さないことから、12月1日に西ベンガル州知事および局長宛に抗議文を送った。また、12月4日に現地調査に入ったPBKMS会長が48時間に亘り警察に拘束されたことから、12月13日に再度西ベンガル州知事、局長、タタ・モーターズ取締役に対して抗議文を送った。

4. 各組織報告
フード連合:12月4-5日の春闘討論集会を経て、11日に中執で春闘方針案を作成し、1月29日の中央委員会で方針を確定する。賃金改善、割増手当て、パートの組織化・待遇改善が主要項目。賃上げ要求水準は、定昇+1%(8,500円)または定昇がないところでは7,000円以上。パートは最低25円。
UIゼンセン同盟:12月1日に春闘政策フォーラムを開催し、20-21日の中執で春闘方針を作成し、1月24日の中央委員会で確定する。賃上げ要求水準はフード連合と同様に、定昇+1%または賃金体系が整っていないところは7,000円。
全国農団労:春闘案は1月に作成し2月の中央委員会で決める。農林年金に対する団体負担分を清算してベアの原資とするよう要求する予定。
サービス連合:12月14日の中執で方針を作成し、1月24日の中央委員会で確定する。年収ベースで35歳を基準に、観光部門で550万円、ホテルは400万を目指す。一時金に関しては、4ヶ月の回復を目指す。月次賃金は、定昇確保または定昇ないところは4,800円を要求。最低賃金は、時給で790円を目指す。

5. 今後の予定
● IUF三役会:1月16-17日、ジュネーブ
● JCC三役会・第3回運営委員会:1月26日、味の素労働組合会議室
● 1月27日から2月2日、インドネシアITUC傘下の日系企業の労働組合との連合多国籍企業二国間セミナーがジャカルタにて開催される。

6. その他
村上さんのコンサルタント契約に関して、過去の運営委員会で契約の妥当性に関する質問が出されたことに加え、本人からも希望が出されたため、年間コンサルタント契約を解消する事で合意に至り、三役会で確認を行った。しかし、会議通訳、海外労働学校、執行委員会でのロビー活動や打合せアシストに関しては、従来どおりお願いすることから、その条件の再設定に関して三役会で決定した。

協議事項
1. IUF世界総会に向けて

(1) 出席者の確認
 現段階での各組織の出席者を確認させていただく。最終的な出席者リストは、年内には確定して本部へ提出する。
 現在調整中(UIゼンセン同盟は確定)の参加者数は次の通り(カッコ内は参加者中の女性の人数):フード連合14名(3名)、UIゼンセン同盟4名(2名)、全国農団労1名、サービス連合3名。

(2) 決議案の確認
 事務局が起案した以下の3つの決議・声明案に関して、各組織で議論してきていただいた結果を踏まえて論議・確認し、本部へ提出する最終の文章を作成した。
@ アジア太平洋地域の民主化の進展に関する声明案
A 食品の安全性に関する決議案
B 健全な流通取引に関する決議案

(3) その他の要請事項(再確認)
前回の運営委員会でご案内したとおり、以下の要請事項が出ているので、ご確認いただきたい。これらの対応が可能な組織は、JCC事務局までご連絡いただきたい。
@ 組合旗および横断幕:2007年1月末日までに本部書記局へ郵送
A 現在進行中の争議や、組合の歴史・文化、労働者の権利、雇用、組織化などで達成したことなどに関する写真やビデオおよびオーディオ資料:2006年12月末日までに本部書記局へ送付

(4) 視察団の日程に関して
世界総会終了後の視察団は、ICFTUとWCLの統合によって誕生したITUC訪問をメインに据えてプログラムを組む。週末を挟んだプログラムとなるため、週末の使い方について議論し、ITUC事務所のあるブリュッセルへ移動する途中でパリに宿泊するという行程で、詳細の予定を組むことが確認された。年内に各組織の出席者が確定されるので、それまでに詳細を詰めて総会出席者に案内させていただく。視察団メンバーは、次回運営委員会(1月26日)までに最終確認させていただく。

2. 国際連帯基金の使用に関して
● 前回運営委員会で審議した、インドのコーヒー農園労組NPWUから受け取っている事務所の改修および会議室の新設費用の支援要請の件、アジア太平洋地域書記局との確認も踏まえ、JCCとしては支援しない事を事務局として提案して、了解された。支援しない根拠は次の通り:@緊急性や活動の重要性から優先度は高くない、A組織運営やインフラ整備などの組織の基幹的な機能への支援は気をつけないと支援依存体質を高めてしまう恐れがある、B額が高すぎてJCC国際連帯基金の単年度支出の枠を超える。
● ビルマFTUBのタイ国境地帯での学校プロジェクト3年目の支援として、過去2年と同様の20万円を拠出する事を提案し、了承された。

3. その他
● 本部よりナノテクノロジーに関する使用事例調査の依頼があった。食品関連産業における一般的な使用事例を研究し、再度加盟組織に連絡する。

第2分:勉強会
国連ミレニアム開発目標(MDGs)について:国際協力NGOセンター(JANIC)下澤事務局長
Ø 国際開発援助の歴史

● 国際開発援助が一般的な形で始まったのは、第2次世界大戦後の欧州復興のための米国が主導したマーシャルプランであった。欧州の復興は比較的早い段階で終わったが、その頃旧植民地が多く独立したものの経済的な問題を抱えており、こうした後発の独立国支援に振り向けられていった。
● 日本は50年代には既に他国の支援を始めており、比較的早いスタートであった。
● 60年代は、「失敗の10年」といわれている。経済発展を最重視し、社会開発は必然的に経済発展ついてくると考えていたが、実際は社会的格差を生む結果となった。
● 70年代は、60年代の反省から世界銀行が提唱したBasic Human Needs(BHN)を重視したアプローチがとられたが、一方で冷戦のあおりを受けて、支援も東西陣営の勢力争いの道具として使用された。
● 80年代は、マクロ経済の調整、いわゆる「構造調整」が貧困緩和援助政策の中心として実施されたが、後半からの「失われた10年」の原因となった。
● 90年代は、グローバル化の進展によって格差拡大に拍車が掛かった。一方で、社会参画や国連開発計画(UNDP)による「人間開発報告」に表れているように、NGO的なアプローチが始まった時期でもある。
● 2000年以降、国連ミレニアム開発目標(MDGs)として、国際開発援助の統一的目標を策定し、同じ方向性での取り組みを行うようになった。
Ø MDGsの特徴
● 8大目標48項目に具体的な数値目標を設定した。
● 全ての国の責任を明確にした。特に支援提供国はGDIの0.7%を支援に充てる事となった。ちなみに日本の支援金はGDIの0.2%である。
● 今まで各国が好きな領域だけやり、国家間の調整がなかったが、円卓会議で明確なコモンファンド、コモンバスケット方式を設置し、国家間の調整を行うようになった。
Ø MDGsの問題点
● 90年代中盤における国際開発目標(IDGs)は多くの分野を含んでおり、2000年のミレニアム宣言も「平和と安全」などの7分野を含んでいたが、MDGsはその中から「開発と貧困」だけを取り出したものであり、そのことの是非をめぐる論議がある。
● 目標自体が控えめであるとの批判がある。
● ODA総額で世界1位、2位のアメリカと日本は、他国との調整を必要とする手法に後ろ向きである。
● その他、国連常任理事国であるロシアと中国が、MDGsに沿った支援活動を行っていない。
● MDGsは、各国のイニシアティブを呼びかけるものであり、拘束力を持っていない。
Ø 今後の課題
● 総ODA予算額が世界一であった時点でのIDGs策定では、日本政府がイニシアティブを発揮していたが、現在は国家予算内におけるODA資金が切り下げられていく中、日本政府はGDIの0.7%の支援金を達成するのは、ほぼ不可能な状況にある。
● 昨年のグレンイーグル・サミットで小泉首相(当時)が支援金の100億円上積みを約束したが、円借款を増やすことで対応しようとしており、加重債務国に対する債権放棄を提唱している英国やスウェーデンからは、新たな債権獲得として批判されている。
● ホワイトバンド・キャンペーンは、日本で4.5百万個のホワイトバンドを売り、売り上げ5億円を上げた。資金の透明性などの批判もあったが、提言活動を行うキャンペーンとしては成功した事例であり、今後こうした大衆運動として提言活動を行う必要がある。
● 2008年には日本でG8サミットが開催されるので、それに合わせてJANICも提言活動を高めていく。
● 2005年の経済協力開発機構の開発援助委員会(OECD-DAC)によるパリ宣言で、援助の供給と管理方法を更にガラス張りにする事を求めており、このパリ宣言対応を政府に求めることも重要である。
● また、日本政府が、国連(UNDP、OSCAL)、アフリカのためのグローバル連合(GCA)及び世界銀行との共催で開催するアフリカ開発についての国際会議である、アフリカ開発会議(TICAD)も、今後東京で開催する予定になっている。
Ø Q&A
● <Q> MDGsの目標2015年まで約半分が経過するが、今までの評価はどうか。→ <A> アジアにおいては初等教育の普及がある程度成果を出している。一方で女性の地位向上には課題がある。