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2007年度第5回運営委員会議事録(2007/04/20)

24-Apr-2007





味の素労働組合会議室で行われた標記委員会の報告を下記の通り致します。
(日 時)2007年4月20日(月)  15:00−18:20
(出席者)畑木、江森、長島、植田(フード連合)徳田、中野(UIゼンセン同盟)、
小川(全国農団労)、秋山、林田(サービス連合)、見里、高田(JCC事務局)
計11名(敬称略)

第1部
報告事項

1. 第6回IUF/コカ・コーラ協議会報告

2007年2月28日に、アトランタのザ・コカ・コーラ・カンパニー(TCCC)の本社にて表記会議が開催され、UIゼンセン同盟東京コカ・コーラ労組の瀬古委員長が出席した。会議の冒頭、ジョン・マーフィー副社長からTCCCの近況と今後の展望に関するプレゼンテーションがあり、その後、労働組合権・雇用権に関して、コカ・コーラ・システムによる再編、アウトソーシング、労働の非正規に関して、国際枠組協約に関して論議があった。
また、第6回協議会の際の瀬古委員長からの要請を受けて、新しく日本コカ・コーラ(CCJC)の人事労務担当となったラドスラヴァ・アンゲロヴァ副社長との会談が行われ、瀬古委員長の他、大場フードサービス部会事務局長と中野国際局部長が出席した。

2. IUF世界女性大会報告
3月16-17日に、ジュネーブで表記会議が行われ、UIゼンセン同盟中野国際局部長、山崎フード・サービス部会執行委員、フード連合吉越中執、北田サッポロビール労組中執、JCC見里が出席した。大会では、その後開催予定であったIUF世界総会への提起として、セクハラ政策の決定、女性と雇用に関する決議案の修正、IUF意思決定機関におけるジェンダーバランスの強化に関する規約改正の支持を決定した。
また、家庭と仕事のバランス、女性の雇用、賃金の平等、組織化に関する議論を行い、4つに分かれたグループ討議を実施した。

3. IUF世界総会報告(視察団報告)
3月19-22日に、ジュネーブで表記会議が開催され、フード連合から8名、UIゼンセン同盟から4名、サービス連合から2名、JCC事務局から3名が出席した。世界総会は「組織化による力」をテーマに、組織化における課題を、関連する5つのサブ・テーマでパネルディスカッションやプレゼンテーションを中心に実施された。
日本から提起した3つの決議案を含む32本の決議が採択された他、意思決定機関におけるジェンダーバランスの強化をはじめ一部の規約が改正された。
執行委員選出では、規約の改正により北東アジアから4名の正委員(同様に第1代理と第2代理を4名ずつ)を選出した。日本からは、フード連合畑木副会長、UIゼンセン同盟徳田副会長、中野国際局部長が正委員、サービス連合秋山副会長、全国農団労内田副委員長がそれぞれ第1代理、フード連合江森事務局長、吉越中執がそれぞれ第2代理となった。
IUF会長にはスウェーデン食品労組Livs会長のハンス・オルフ・ニルソン氏が選出され、書記長にはロン・オズワルド氏が再任された。副会長11名の内8名の地域選出副会長が選ばれたが、フード連合畑木副会長が再任された。
総会後、JCC視察団がITUC、連合欧州事務所、IUF欧州地域組織(EFFAT)、ベルギー食品労組(CSC-CCAS)、ゴディバ工場を訪問した。

4. HRCT部会委員会報告
3月23日に、ジュネーブで表記会議が開催され、サービス連合秋山副会長、斎藤帝国ホテル労組書記次長、JCC見里が出席した。会議では、昨年11月に開催されたHRCT部会総会およびIUF世界総会のフォローアップが中心の議題となった。10月にITF/UNIとのコーディネーション会議がロンドンで行われることになった。

5. 海外労働学校準備進捗報告
 プログラム(5月16-27日)がほぼ最終のものとなった(一部、スウェーデンのホテル労組訪問が未定)。出席者はキャンセルが出て、最終的に一般参加23名、事務局2名の25名となった。準備会は5月8日にIMF-JC顧問の小島正剛氏を招いて実施する。

6. IUF会費およびA/P地域活動基金支払実績報告
IUF会費およびA/P地域活動基金の支払を完了した。為替レートはスイスフランが96.39円、オーストラリアドルが91.92円で、徴収時に設定したレートよりも低く抑えることが出来たので、双方合わせて840,097円の為替差益を出すことが出来た。為替差益は2000年度拡大運営委員会の決定に従い、日本事務所口座にプールする。

7. NGOとの協働
(1) NGO-労働組合国際協働フォーラム
 4月26日に総評会館で「NGO-労働組合間」連携事例報告会が開催される。労働組合の社会貢献活動のあり方を考える上での参考としてご活用いただきたい。
 4月28日に開催されるメーデー中央大会で、昨年に引き続きテントを出展して、広く取り組みの必要性を訴えかける。児童労働グループ、HIV/AIDSグループ、母子保健グループが、それぞれ体験型のイベントを企画しているのでご協力をお願いする。特に、HIV/AIDSグループでは、事前にレッドリボン作成を呼びかけているので、当日の来場と合わせてご協力をお願いする。
(2) 児童労働ネットワーク(CL-Net)
 今年6月12日の児童労働反対世界デーに合わせ、5月12日〜6月30日をキャンペーン期間とし一連の活動を実施または協賛する。
 CL-Netとして実施するイベントは、6月17日(日)に国際協働フォーラムと合同で行う「フィルム上映および対談」と、マーチを企画している。チラシを作成したので、必要に応じて配布していただきたい。

8. 争議支援・連帯活動
 インド西ベンガルにおける農地接収と、3万人にも及ぶ農民の強制退去に関し、労働組合および農民の抗議活動に対して5000名の警官が配備された。これに抗議して西ベンガル州首相およびタタ・モーターズの取締役に抗議文を送った(4月3日)。

9. 今後の予定
 NGO-労働組合国際協働フォーラム連携事例報告会:4月26日、総評会館
 国際労災被害者追悼日:4月28日
 中央メーデー:4月28日
 海外労働学校準備会:5月8日
 JCC三役会:未定(要設定)
 児童労働反対デー・キャンペーン:5月12日〜6月30日
 海外労働学校(スイス・スウェーデン):5月16〜27日
 IUFグローバル・ネスレ・コカコーラ・プロジェクト報告会:6月6日(未定)
 UNI/IUF合同セミナー(プライベート・イクイティ・ファンド):6月7日
 児童労働反対デー・イベント(映画&トーク、ウォーク):6月17日、UNハウス
 A/P会計監査:未定(要設定)、A/P地域事務所(シドニー)
 JCC三役会・第6回運営委員会:7月6日、味の素労働組合会議室
 2008年度スケジュール案は、次回運営委員会までに各組織のスケジュールと照らし合わせて、不都合が無いか確認してきていただきたい。

10. 各組織報告
 フード連合:春闘は現在、中小の交渉が本格化している。4月16日集計では、84労組が妥結しており、平均方式で5,576円(昨年比+34円)の賃上げを獲得している。300人未満では昨年比+76円(4,312円の賃上げ)、99人以下では+245円(3,763円の賃上げ)と、中小が頑張った。賃上げ要求以外にも時間外割増率やパート職員の労働条件向上を目標に据えたが、中小への波及はまだであり、一部妥結した労使もあるが、概して経営側のガードが固かった。
 不二家に関しお騒がせしてきたが、ようやく営業再開となった。この間、品質上問題ないが出荷できない生菓子以外の干菓子を廃棄処分するのではなく、社会貢献の視点から、送料のみの無償で連合愛のカンパの対象となるNGOなどに配布することを決めた。この決定の情報が新聞(朝日、毎日)やTV、インターネットで流れ、問い合わせが殺到している。
 全国農団労:春闘はこれからであり、定昇を何とか確保したいと考えている。
 サービス連合:春闘は4月20日集計で、要求を行った60単組の内、40が妥結した。BU要求を行ったのはその内8単組だが、4単組が妥結に至っている。今年は一時金に焦点を当てており、昨年より0.4〜0.5ヶ月増しとなりそうである。

協議事項
1. IUF世界総会のフォローアップ

(1) 決議対応
 決議14:ベラルーシ、16:アジアの民主化(特にビルマ)、17:コロンビア、34:スリランカ、35:ジンバブエの5本の決議に関しては、ナショナルセンターを通じたITUCとの連携や、政治的な対応が必要となることから、連合に対し4産別組織連盟で協力要請を行うことする。
 同時に、16と34はアジア太平洋地域内の問題であるので、9月の地域委員会で具体的アクションをとることを念頭に、IUF-A/Pとしての対応を検討する。
 決議4:持続可能な食品生産に関しては、日本でも食肉産業(特に屠場)をはじめ、外食産業などでも外国人労働者(研修実習生、就学生、日系人)が働いている現状を踏まえ、加盟産別によるこれら外国人労働者の組織化の取り組みを支持する。
 決議13:プラスティック袋の蔓延に関しては、日本でも連合が買い物袋に関するキャンペーンを行っているので、この取り組みを支持する。
 決議20:市民の食糧主権の擁護、33:バイオ燃料に関しては、海外から輸入される原料が既に値上げの動きがあることを踏まえ、国内のバイオ燃料に関する動向のモニタリングと共に、海外からの原料の安定供給の検証が重要である。
(2) 決議以外
 ジェンダーバランス是正の強化に関する規約改正は、総会代議員に関しては、2012年の総会に各組織で対応できるように、各産別内部の体制を女性の参画という観点で強化していく。また、IUF執行委員に関しては地域内の調整が必要であり、A/P地域総会時にも北東アジアの連絡会議の開催を検討することを韓国、香港と確認しているので、次回地域委員会のタイミングなど、経費のかからない方法での対応を検討する。
 A/P地域総会(2006年10月)、HRCT総会(2006年11月)でもサービス連合秋山副会長が主張した、アジアにおけるITF/UNI/IUFの協力体制構築に向け、日本のイニシアティブを発揮すべく、日本国内の調整を行う。先ずは、日本の中でITFおよびUNIの状況を把握する。
 企業の金融化に関しては、UNIと共催でセミナーを6月に実施する。
 ビール・アルコールに関するサイドミーティングに関し、本部が担当する関連加盟組織の特定の進捗をフォローし、必要に応じて対応の強化を本部に申し入れる。

2. UNI/IUF合同セミナー「プライベート・イクイティ・ファンド」に関して
2006年10月のA/P地域総会、先月の世界総会でも話題となったプライベート・イクイティ・ファンドに関するセミナーをUNIと共同で6月7日に実施する。UNIフィリップ・ジェニングス書記長の基調講演、IUFヒダヤット・グリーンフィールド氏の報告の後、UNI-LCJ、IUF-JCC双方からケーススタディー報告を行う。
また、グリーンフィールド氏の来日にあわせ、彼が担当しているグローバル・ネスレ・コカコーラ・プロジェクトの報告会を別途企画する。尚、グリーンフィールド氏の来日に関わる費用は、国際連帯基金の来日役員対応の予算を使用する。

3. 職員の賃金引き上げに関して
 JCC職員の賃金引上げに関しては、世間の春闘の動向、加盟産別組織の春闘妥結状況およびプロパー職員への賃金引上げの実態を見極め、次回の三役会で決定した上、運営委員会に報告する。賃金引上げは4月度月次賃金にまで遡及して、実施月に支払うこととする。


第2部
勉強会:カカオ栽培における児童労働の事態と対応(アメリカの政府およびNGOの対応と、ガーナの現場の実態)、特定非営利活動法人ACEの岩附由香代表、水寄僚子理事
(1) アメリカNGO・政府の児童労働へのアプローチ(岩附氏)

 カカオは赤道をはさんで南北20度の範囲内で栽培され、かつては通貨として使用されていた貴重な作物であった。西アフリカのコートジボアールとガーナで世界の生産の60%を占めるが、その他インドネシア、中南米で生産されている。
 カカオ栽培の児童労働問題は、2001年9月にイギリスのチャンネル4がドキュメンタリーで取り上げたことがきっかけとなり、社会的問題として浮上した。
 アメリカでは、1930年の関税法で児童労働や強制労働で生産したものの輸入を禁じている。元々は保護主義的な意図で設けられた法律であるが、現在は権利を擁護するNGOの主張の拠り所となっている。その後、’84年の通商関税法、’00年貿易と開発法で、貿易と社会問題をリンクする法的な枠組が強化された。こうした法的背景から、カカオ栽培の児童労働問題で、2005年にNGO(国際労働権利基金)がアメリカの税関を提訴した。また、トム・ハーキン上院議員、エリオット・エンゲル下院議員による、ハーキン・エンゲル議定書が採択され、最悪の形態の児童労働を禁じるILO182号条約の準拠を産業に求めた。
 カカオ栽培の児童労働は債務労働や奴隷労働、または危険作業を伴う労働などにより、最悪の形態の児童労働に位置づけられる。
 世界カカオ基金(WCF)は産業界が設立した基金で、零細のカカオ農家支援を目的に、資金とプロジェクト支援を行っているが、児童労働問題も主要な課題の一つとなっている。参加企業はマーズ、ハーシー、クラフト、ネスレなどのグローバル企業であるが、日本からも森永製菓と明治製菓が参加している。
 WCFは、非就学児童の巻き込み、家族の収入向上の一環として母親へのローン提供などを行っている。6月にはWCFの代表が来日する予定である。
 森永製菓は、特定商品の売り上げの一部をNGO(プラン・ジャパン)に提供している。
(2) ガーナ視察報告(水寄氏)
 人口2千2百万人で、GDPが年率5%程度伸びており、経済発展を続けている。
 ガーナは日本のカカオ豆の輸入元で、総輸入量の7割を占める。日本の輸入は、ガーナの次はインドネシア、グアテマラと続く。35万世帯、127万人がカカオ栽培に関わっており、内24.2万人が危険作業に従事している。
 ガーナは日本の米と同様に、栽培されたカカオを各農家から農民組合に集積する中央集権品質管理体制をとっており、このことが周辺諸国よりも高い品質を維持するのに役立っている。
 カカオ農家の就業調査を行うと、農家の子どもの52%が働いているが、雇用されている子どもは0.94%のみで、家庭の手伝いが圧倒的に多い。子どもの30%は学校のみに通っているが、30%は学校と同時に仕事も行っており、20%は非就学児童、18%が就学も仕事もしていないニートである。児童労働は、非就学児童が従事する可能性が高い。
 現地では、2000年頃から様々なプロジェクトが始まっており、生産性向上による収入の向上、マーケッティング方法の改善、農業技術の向上、社会的側面の啓発など、持続可能な栽培プログラムが行われている。
 フェアトレード用に生産条件を管理されたカカオは、集積された全量から2%のみがフェアトレード品として出荷され、残り98%は一般市場に流通している。従って、フェアトレード品のみが良いというのは、単に宣伝として利用されているような状況にある。
 現場でのパートナーシップの構築に課題がある。ILO、政府、NGOなどが児童労働問題で活動しているが、それぞれが競争しあっており、整合性の取れた役割分担が取れておらず、投下された資金が充分に活かされていない。

以上