IUF logo; clicking here returns you to the home page.
IUF
Uniting Food, Farm and Hotel Workers World-Wide


IUF、毒性香料ジアセチルに世界規模の緊急行動を要請

Posted to the IUF website 20-Nov-2007





IUFは、世界の政府規制当局に対して食品香料ジアセチルの使用監督に関して緊急行動を取るよう要請している。ジアセチルは、人工バター風味の原料として使用されているが、その製造過程で曝露した労働者に重篤かつ死に至る疾病を引き起こす要因である。アメリカで今やポップコーン労働者肺として広く知られる重症肺疾患である閉塞性細気管支炎とジアセチルの関係が実証されている。

アメリカの最近の研究により、電子レンジ用ポップコーンの製造を行う労働者に対するジアセチルの影響に焦点があてられたが、ジアセチルは、冷凍食品、スナック食品、菓子類、焼き菓子、乳製品、商業用ベーキングミックス、その他の加工食品にも広く使用されている。ジアセチルが食品の原料として特定されることはまれで、人工香料という一般名称で他の化学物資と共に人目につかない。規制や表示要件が不十分なために、米国および世界の食品製造で労働者がどの程度曝露しているかはわかっていない。

労働者の健康リスクにもかかわらず、欧州連合は無頓着と責任否定という不安が募る行動パターンを取り、IUFは、これを暴露した。IUFがコンタクトした規制、保健、取引に関する各種機関は食品加工におけるジアセチルの広範囲の使用を認めたが、この化学薬品が何処で、どのように使用されているか、曝露者の数、健康管理の詳細、EU職場の問題としてジアセチル曝露の調査についての詳細は提供しようとしなかった。

米国の労働安全衛生当局は5年以上前から、短期間のジアセチルの曝露でも閉塞性細気管支炎を引き起こしうることを知っていた。閉塞性細気管支炎は進行性肺疾患で、元通りに回復しない致死性疾病である。最も一般的な保護手段は、紙マスクだが、これは、ジアセチルの吸引に対しなんの保護にもならない。

2000年以来、米国国立労働安全衛生研究所は、食品製造におけるジアセチルの曝露と労働者間の重症肺疾患との関係の証拠を集積してきた。これを具体的措置にする責任を持つ連邦機関(OSHA/労働安全衛生局)が規制行動を取る事に抵抗したために、組合および労働・公衆衛生の支持者は政治行動を求めた。今年の9月26日、米国下院は、OSHAに対するジアセチルの法定曝露限度の設置と曝露規制、手続きの監督および監視の要請法案(法律になった場合)を採択した。

米国大手食品製造業者は、報道機関の注目、全国的なまたカリフォルニアでの法制化のおそれ、病気になった労働者を代表する裁判の成功数の増加が理由で、ジアセチルをバター風味から段階的に削減することと、他の原料(非特定)に替えていくことを発表した。顕著な例外は、世界第2位の食品大手であるクラフト社だ。ジアセチルに関する法令闘争の最中にクラフトは、新しい『ゴールデンきつね色バター』風味を発表した。これは、カロリーが低く、広範囲に使用できると主張している。『ゴールデンきつね色バター』は、ジアセチルを含んでいる。『一部の顧客にジアセチルは問題だが、他の顧客には問題にはならない』とクラフト社は語る。米国の香料産業の全国協会である米国香料エキス製造協会は、OSHA義務基準を要件とする議会法案を支持している。

EUの保健規制当局は、米国で集積されているジアセチルの有毒性の証拠にあまり影響を受けていないようだ。欧州委員会は現在この製品の安全性について見直す計画はなく、見直し物質の優先リストにジアセチルは載っていないと言うばかりだ。EU労働安全衛生指令は、現在ジアセチルの曝露制限を規定しておらず、製造における吸引やその他の形態の曝露に関する評価がおこなわれていない。食品と香料に関するEU規制は香料の含有を許される食品のカテゴリーの定義や使用レベルを特定していない。IUFの情報要請に対して、欧州香料芳香剤協会はジアセチルが欧州、米国、南アフリカ、中国で製造されていること、製造されると共に自然発生するということを確認したのみである。この組織は特定製造業者の名前や住所、あるいはこの香料を含有した製品ブランドを開示したがらなかった。

欧州のある食品製造業者は、自己安全基準を導入すると言う行動を呼びかける声の高まりに対応した。しかし、現在の知識と慣行は、安全な曝露基準の設立を許さない。たとえそのようなものが存在してもジアセチルの安全な取り扱いと使用にどんな技術が必要かが示されていない。このような状況下では、認められる曝露、安全な慣行、産業の自己規制という話は全て危険なでっちあげである。

いかなる労働者も身体に害になる、潜在的に致死性職業疾患と関連する物質の取り扱いを期待されるべきではない。ジアセチル曝露に影響を受ける可能性のある全ての労働者の包括的なリスクアセスメントなしには、米国の経験がどこかで繰り返されるかどうかを確かめる方法はない。

労働者の健康と生命に対する脅威という観点から、IUFは、加盟組合、広範囲の労働運動、また労働者の安全衛生を扱う健康医療組織に対し、即座に各国および国を超えた安全衛生規制当局による行動を要請するよう求める。

食品製造におけるジアセチル使用製品やブランドに関する全ての情報は一般に入手可能でしかも簡単にアクセスできるようにしなければならない。食品労組は、食品加工におけるジアセチルの職場曝露に関連した危険に関する包括的な調査計画の積極的なパートナーとしてこれに正式に関与しなければならない。これには曝露の可能性をモニターする職場調査、生産方法の評価、保護手段のアセスメントと危険に晒されている可能性のある全労働者の身体検査を含まなければならない。リスクアセスメントにはこの物質が完全に排除されうるかどうか、もし必要であればより安全な代替物質に交換できるかということの評価が入れられなければならない。現在の知識では、完全な職場のリスク評価が終わるまでは、ジアセチルの使用を即座に停止することが正当である。