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2008年度第1回IUF-JCC運営委員会議事録(2007/11/15)

11-Dec-2007





味の素労働組合会議室で行われた標記委員会の報告を下記の通り致します。
(日 時)2007年11月14日(金)  第1部:15:05−16:25
第2部:16:40−18:00
(出席者)畑木、江森、植田(フード連合)、徳田、中野(UIゼンセン同盟)、内田、小川(全国農団労)、岡田(サービス連合)、見里、高田(JCC事務局)、合計10名(敬称略)

第1部
報告事項
1. 観光に関するITF/UNI/IUF合同会合報告

 10月12日、ロンドンのITF本部会議室にて、観光産業に関するITF/UNI/IUFの合同会合が開催された。本会合は、各GUFの観光担当の責任者を中心とした、今後の3組織間の協力体制の構築に関する方向性を見出すための協議を行った。日本からは、ITF側としてサービス連合大木副会長、アジア太平洋地域和田部長、IUF側からサービス連合の秋山前副会長と田上副会長、JCC見里が出席した。会合の結論として、以下の4点を確認した。
 先ず、GUF全体よりも各地域が先行して、3組織間の協力体制の枠組を構築する。アジア太平洋地域では、各GUFとITUC-APの地域書記長の調整会議の機会に、別途半日程度時間をとって3組織の地域書記長が話し合いを持つところからスタートさせたい。
 3つのGUFの本部書記局は、3〜4ヶ月程度の期間をもって関連組織のマッピングに関する計画を立て実行する。
 上記の計画を実行する短期雇用のスタッフについて検討する。
 3つのGUFとして3〜4年のスパンでの計画を構築する。これには、例えば「グローバル観光同盟(Global Tourism Alliance)」などの名称も含めて検討する。また、ウェブ・サイトでの共通情報のリンクも行う。

2. 第7回IUF/コカ・コーラ協議会報告
10月24日、アトランタにて表記会議が開催され、UIゼンセン同盟瀬古東京コカ・コーラ労組委員長が出席した。
 ザ・コカ・コーラ・カンパニー(TCCC)としての日本におけるコカ・コーラ・システムの位置づけに関して、ムーター・ケントCOOよりプレゼンテーション及び質疑が行われた。この中で、これ以上の日本のボトラーの所有はないこと、競争力視点での各ボトラーのシナジー効果強化としてのウェスト・ジャパンの位置付け、などを確認した。
 昨年の協議会でIUFから提起した、IUFとコカ・コーラ間の国際枠組協約に関しては結論には至らなかったものの、交渉を継続することが確認された。
 グアテマラのコカ・コーラ労組役員の殺害に関する件、パキスタンのカラチ工場の外注化にかかわる争議解決の件、インドの水及び殺虫剤などの環境問題、などが協議された。

3. IUF三役会報告
10月30-31日にIUF三役会が開催され、フード連合畑木副会長(JCC議長)およびJCC見里が出席した。
 新規加盟や財政など、従来の三役会で行ってきたルーチンでの作業に割り当てる時間を極小化し、戦略的な論議に時間を当てるようなプログラムに変更となった。特に、今後の優先的イニシアティブに関する議論に最大の時間が割かれた。
 加盟組織の組織化支援として、草案ベースで国際組織化基金の提案があった。今回は三役メンバーの反応を見るために提起されたが、より具体的な提案が来年4月の執行委員会で提起されることになる。
 IUFの産業分野の中でも特に農業を取り上げて、今後の活動の方向性に関するプレゼンテーションがあり、それを基に論議を行った。農業部会(AWTG)の優先課題が膨らむ中で、より絞り込んだ優先課題への取り組みが提起された。昨年のAWTG総会で優先作物に取り上げられた米に関しては、アジア太平洋地域としてどう対応するか、2月の地域農業会議で提起したい。
 グローバルユニオン協議会との関係に関しては、今回新たな資金拠出の提案があったが、本質的な活動のあり方や、現在までにIUF内で確認してきたことなどを踏まえた異論が多く出され、2008年4月の執行委員会で再度議論することとなった。

4. NGOとの協働
(1) NGO-労働組合国際協働フォーラム
 全体会および交流学習会を11月14日に開催した。交流学習会のテーマはフェアトレードで、企業(イオン・トップバリュー社)、NGO(オルター・トレイド)、労働組合(連合熊谷氏)のそれぞれの立場からの報告がされた。
 HIV/AIDSグループが12月1日の「世界エイズ・デー」に合わせて、写真展を11月30日〜12月12日の日程で総評会館1階ホールにて開催する。
 12月12日にワークショップ「職場におけるHIV/AIDS 〜陽性者スピーチと模擬労使交渉〜」を開催する。参加者人数を60〜80名に設定して取り組んでいるが、IUF-JCCとして主体的にかかわっている活動であり、各加盟産別から5名以上の動員を事務局からお願いした。これに対して畑木議長より、極力動員という手法をとらずに、自主的に参加して欲しいとの要請があった。
(2) 児童労働ネットワーク(CL-Net)
 10月29日、CL-Netの総会が味の素労組会議室で開催された。@6月12日の「世界児童労働反デー」に合わせたキャンペーンの実施、A外部向け学習会および内部研究会の充実、Bネットワークの拡充と充実、C情報機能の強化、の4点を新年度の重点課題として採択した。

5. 争議支援・連帯活動
 アメリカに本拠地を持ち、世界最大の豚肉加工企業スミスフィールドのタールヒール工場で、組合の代表性を巡って闘争を繰り広げていたUFCWとの組合承認協議を、経営が一方的に打ち切ったことに関して、CEOおよび副社長に対し抗議文を送付した(10月17日)。
 ジャカルタのホテル・グラン・メリアにおける組合つぶし行為は、IUFが主導したeメールによる抗議レター・キャンペーンによって、少なくとも不当解雇がストップした。今後法的手段を講じるに当たり、一旦キャンペーンを中止することを決めた。

6. 各組織報告
フード連合
:食の安全・安心に関する取り組みを継続しているが、組織内外の食品企業の不祥事が相次いでいることを受け、職場の点検活動を労使で取り組むよう11-12月に申し入れを行う。中小零細企業が多い中、個別の労使間の申し入れと共に、業界団体への申し入れも行う。春闘に関しては、連合の方針を受け、11月19-20日に討論集会で論議、12月10日の中執で方針案を作成し、1月28日の中央委員会で確定する。
UIゼンセン同盟:春闘は、12月6日の政策フォーラムで事務局素案を提示し、12月19-20日の中執で方針案を作成し、1月24日の中央委員会で確定する。
全国農団労:春闘は12月16日の中執で方針の枠組を決定する。約1%程度のBUを要求する方向性で議論している。現在は期末一時金を求める秋闘に取り掛かっている。農協組織でも、横領などの不祥事続きである。労働組合のチェック機能の強化を呼びかけている。10月16日「世界食糧デー」では、食の偏在の解消を共通テーマに、各加盟組織単位でチラシや特産物の配布に取り組んだ。長野では地方連合とタイアップして、シンポジウムを開催した。
サービス連合:現在、秋闘の交渉の最中であるが、支給水準の維持が最大の課題である。春闘に関しては、育児・介護など統一要求の基準を決めている。1月25日の中央委員会で決定すべく、ヒアリングを実施している。組織拡大に関しては、企業内の関連企業、役職区分けによる非組合員定義の見直しなどによる、組織拡大を単組ベースで進めている。また、裁判員制度が近づいているのに向けて勉強会を実施している。

7. 今後の予定
 国際協働フォーラムHIV/AIDS写真展:11月30日〜12月12日、総評会館1階ホール
 A/P食品飲料会議:12月5〜7日、クアラルンプール
フード連合植田中執、明治乳業労組徳山委員長、キリンビール労組羽部中執、中村中執の4名と、JCC見里が出席する
 国際協働フォーラムHIV/AIDSワークショップ:12月12日、総評会館3階
 JCC三役会・第2回運営委員会:12月14日、味の素労働組合会議室

 11月に予定されていたアジア太平洋地域のHRCT会議及び農業会議は、この時期に会場であるカトマンズへのアクセスが困難なことから、2008年2月に延期となった(農業:2月17-18日、HRCT:2月20-22日)。また、その直後には地域女性委員会も開催される(2月25-26日)。

8. その他
 10月17日、ノルウェー食品労組NNNヤン・エギル・ペダーセン委員長が、ノルウェー政府のWTO関連協議団の一員として来日し、サービス連合田上副会長、全国農団労小川書記長、JCC見里と夕食懇談会を行った。
 パキスタン・アウトリーチ・プロジェクト10周年記念行事が、11月10日(土)カラチにて開催される予定であったが、ムシャラフ大統領による11月3日の非常事態宣言によって、延期されることとなった。本イベントには、同プロジェクトの国際連帯グループのメンバーであるJCC見里が出席する予定であった。非常事態宣言以降、組合役員も逮捕拘束されるケースが多く報告されており、IUF加盟組織でもパキスタン食品飲料タバコ労連の情報担当局長が逮捕された。現在、10周年記念イベントを12月中旬に再度計画している。
 11月11日(日)、連合、ミャンマーの民主化を支援する議員連盟、在日ビルマ人協働実行委員会、アムネスティ・インターナショナル日本の4組織の共催で、「ビルマに民主化を求める集会」が代々木公園にて開催され、約600名が参加した。各団体の挨拶及び報告の後、集会アピール(別紙)が採択され、渋谷宮下公園までデモ行進を行った。
 会議通訳費の処理に関するJCC事務局内規の配布。
 連合多国籍企業問題小委員会設置に関する資料配布。
 国際経済労働研究所「企業の海外展開と労働の再編過程」研究会の報告書からの抜粋「多国籍企業と労働運動の課題」配布。
 プライベート・エクイティ・ファンドに関する新聞記事配布(2007年10月11日朝日新聞朝刊)。
 海外労働事情(イギリス:労働者派遣事業に対し規制強化の動き、中国:労働争議が増加)配布。


協議事項
1. 国際連帯基金の使用に関して

パキスタン・アウトリーチ・オフィスでは老朽化したコンピューターの買い替えを計画しているが、10周年のお祝いも兼ねて、JCC国際連帯基金でのコンピューター購入支援が事務局より提案され、了承された。
尚、今年度の国際連帯基金予算では、支援活動および寄付金で120万円を計上している。現段階で予定している拠出は、ビルマFTUBの学校プロジェクトへの20万円のみ。ちなみに、昨年度は同じく120万円の予算計上に対し、70万円の拠出をしている。
<決定した支援内容>
パキスタン・アウトリーチ・オフィスに2台のコンピューターを購入する資金を援助する。
支援金:1,810US$ (@905US$ × 2台) 約20万円

2. 今年度のJCCセミナーに関して
IUF新会長のスウェーデン食品労組ハンス・オルフ・ニルソン会長は、以前から来日を希望していた。今回IUF新会長を招聘し、「ワーク・ライフ・バランスとスウェーデン・モデル」をテーマにセミナーを行うことが事務局より提案され、了承された。実施は2008年6月の第2週もしくは第3週を予定する。

3. 海外労働学校に関して
(1) 募集に関して
過去3年間と同様、単組の参加者の上限を2名とさせていただくことが了承された。
(2) 今後の手続きに関して、以下の通り確認した。
1月末の運営委員会で募集要項の決定
1月末の運営委員会翌日〜2月29日(金):募集期間
3月28日:運営委員会で参加者および詳細プログラムの確認
4月25日:参加費の支払期限、および運営委員会で全体の進捗の最終確認
5月9日:事前勉強会
5月21日(水)〜6月1日(日):海外労働学校実施(スイス、オランダ)


第2部
勉強会
「ICFTU-APRO 2年半の経験 〜アジア太平洋地域の労働運動の課題と展望」

講師:連合労働条件局 滝沢弘氏
10月末に、2年半のICFTU-APROおよびITUC-APでの勤務を終えて連合に復帰した滝沢氏を招聘し、標記テーマについてお話を伺った。
<ITUC-APについて>
 2007年9月5−6日、インドのバンガロールでITUC-APの結成大会が開催され、4年間のプログラムを決定した。これにより、29カ国、48組織から1,800万人の組合員が集う、国際組織のアジア太平洋地域が誕生した。
 ITUC-APは11名の書記局スタッフがおり、事務所をシンガポールに置く。会費収入の7〜8割が日本から拠出されており、日本のプレゼンスは非常に大きい。
<グローバル化の影としての失業問題>
 GDPは2000年以降6.3%拡大して経済成長は続いているが、雇用には反映されず、失業率は逆に過去10年間で増大している。経済成長をグローバル化の光だとすると、失業率の拡大が影であるといえる。これは、富の配分と、その再配分が公正に行われていない結果である。
 この間、労働市場の改革は進み、各国で労働派遣法などが改定され、雇用の柔軟化が広がっている。日本でも製造業にまで派遣労働が広がったことは注目に値する。また、韓国でも労働改革が進んでおり、特に’97-‘98年の通貨危機以降のIMF介入により韓国政府は労働法を改正し、現在では韓国の総労働人口の半数以上が非典型雇用労働者となっている。連合でも今年非正規センターを設置して、この問題に正面から取り組んでいるが、労働の非典型化は世界的な問題であることに注目して欲しい。
 青年の失業者数は全体の41%にのぼり、非常に高い。これは将来の問題である。
<仕事の量と質:ディーセントワーク>
 個人営業も含めインフォーマル経済と呼ぶ。多くの中小零細が存在するが、そうした企業家が支援されていないことも雇用に大きな影響を及ぼしている。
 外国人労働者は、言語のコミュニケーション能力や住居の問題などを抱えている。一方で、受け入れ国の雇用の問題もある。例えば、日本でも現在FTAによるフィリピンからの介護師の導入が予定されているが、青森、岩手、沖縄など雇用が厳しいところもある。
 女性と青年は、最初に解雇される立場にあり、恒常的に働くのが難しいといった、最も弱い立場の労働力である。
 ICFTU-APROが2006年に行った雇用保護調査によると、アジア太平洋地域では雇用保険の対象にならない人たちが多い。日本のような「ハローワーク」がある国は少なく、多くの国で労働者は雇用情報へのアクセスがないのが現実である。こうした問題の原因は、ソーシャル・パートナーシップへの認識不足であると考える。労働・経営・政府によるソーシャル・ダイアローグが重要である。
<経済成長と所得の不均衡>
 所得の不均衡はなお継続している。富の配分の不平等はかえって拡大している。
 不平等の指数であるジニ係数を見ると、アジア太平洋地域の中でも東南アジアでの不平等の大きさが目立っている。
 こうしたことの主な原因は、労働者保護法法制が不十分で、経済活動のゆがみが出ていることである。労働組合は労働法制に対して受け身ではなく、もっとプロアクティブに働きかける必要がある。経済成長をめざしつつ、雇用を守る努力が必要である。
<Q&A>
Q1:ITUC-APの青年委員会はどのような活動を行っているのか。
A1:各国の青年委員会は組織化活動の最前線を担当している。若年労働者の組織化が各国とも大きな課題であることを示しているが、例としてはニュージーランドの組合は、ファストフードの組織化で青年をフル活用している。一方、日本では青年委員会もこれまで存在しておらず、明確な方向性が見えていなかったが、今度連合にも青年委員会ができたので、今後に期待したい。
Q2:アジア太平洋地域には貧しい労組も多く、ドナー組織に財政的な援助を受けている組織も多いと思うが、ドナーへの依存体質によって、重要な組織内の決定事項もドナーの意志に左右されることもありうると考える。そのような中、ITUC-APとして何らかの調整を行うことがあるのか。
A2:基本的には、ITUC加盟組織は自由で独立した労組が基本ある。ドナーとの関係も、ナショナルセンターのリーダーが決めることであり、ITUC-APがそうした決定に介入することはない。


以上