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2008年度第2回IUF-JCC運営委員会議事録(2007/12/14)

19-Dec-2007





味の素労働組合会議室で行われた標記委員会の報告を下記の通り致します。
(日 時)2007年12月14日(金)  第1部:16:00−17:05
第2部:17:10−18:10
(出席者)畑木、江森、山本、植田(フード連合)、徳田、大場、中野(UIゼンセン同盟)、
小川(全国農団労)、田上、井土(サービス連合)、見里、高田(JCC事務局)
合計12名(敬称略)

報告事項
1. 第1回A/P食品飲料ワークショップ報告

 12月5-7日、クアラルンプール(マレーシア)にて、表記ワークショップが開催され、フード連合から植田本部専従中執、徳山明治乳業労組委員長、中村、羽部キリンビール労組中執と、JCC見里が出席した。会議の主なポイントは以下の通り。
 アジア太平洋地域で開催される初めての食品飲料部門の会議・ワークショップとなった。この後、農業、HRCTの会議も順次開催されることから、これは2006年10月の地域総会で部門ごとの活動を強化するような意見が出された結果と考えられる。
 議長はニュージーランドDWUのジェームズ・リッチー書記長が務め、書記局及び加盟組織からのプレゼンテーションに後、一般討議を行うという形式で進められた。主なテーマは、グローバル化するサプライ・チェーンでの組織化を強化するための戦略構築であった。日本からは、フード連合植田中執より、フード連合の組織化戦略に関するプレゼンテーションが行われた。
 組織化とは別に、安全衛生問題として合成ジアセチルの危険性に関するプレゼンテーションがあった。これは、不可逆性の閉塞性細気管支炎を引き起こす原因として報道され、11月にIUF全体として調査を行うことを決めたことに関する課題共有を目的としたものであり、日本でも緊急課題として取り組む必要がある。
 会議の結論として、サプライ・チェーンでの協力体制の構築(ロジスティクスや小売業)、同業種内の連携、同一多国籍企業内の連携が提起されたが、具体的な行動計画は今後の議論を待つこととなった。
 日本企業の海外進出が注目された。特にキリンビールがオーストラリアのナショナル・フーズを買収した直後ということもあり、多国籍企業としての日本企業に焦点を当てたコメントが目立った。また、キリンビール以外の日系企業にも、従来以上に関心が高かった

2. NGOとの協働
(1) NGO-労働組合国際協働フォーラム
 HIV/AIDSグループが12月1日の「世界エイズ・デー」に合わせて、写真展を11月30日〜12月12日の日程で総評会館1階ホールにて開催した。
 12月12日にワークショップ「職場におけるHIV/AIDS 〜陽性者スピーチと模擬労使交渉〜」を開催した。約45名の参加を得たが、IUF-JCCからも各加盟産別からご出席いただいた。
(2) 児童労働ネットワーク(CL-Net)
 11月29日に運営委員会を開催し、来年6月12日の「児童労働反対世界デー」にあわせたキャンペーンに関する1次論議を行った。キャンペーンの目的を、過去2年間の「一般市民に広く児童労働について知らせる」ことともに、政策提言を含むアドボカシーの要素を取り入れることを検討することとなった。

3. 争議支援・連帯活動
 中国深川の労働者権利センターが襲撃を受け、建物や設備が破壊され、代表が重傷を負った。中央政府に抗議する香港の労働権利学生・学者グループのSACOMに連帯のメッセージを送った(12月5日)。→(関連)中国の労働法改正に関する新聞記事

4. 各組織報告
フード連合
:11月29-30日、春闘討論集会を行い160名参加した。その後12月10日に執行委員会で方針案を決定し、1月28日の中央委員会で方針を確定する。賃金テーブルがある企業では定昇込みで8,500円、賃金改善方式では3,000円、中小の場合は7,000円(3%)程度を目標とする。昨年に引き続き有志共闘に参加すると共に、今年は割増共闘に参加して、全体的な取り組みに加わる。時間外割増率は、全ての組合が30%を達成するよう取り組むが、既に30%を超えている組合は、一月30時間を越える残業や特別協定に関して50%とすることを目指す。
 食の安全安心に関して多くの起業で不祥事が起きているが、組合の無い企業が多く、内部告発による問題発覚が多発している。即ち、パートタイマーをはじめ従業員が言いたいことが言えない職場風土に問題があると考え、フード連合内の単組の労使関係だけでなく、業界にも要請を行っている。
UIゼンセン同盟:11月29日に春闘方針案を中執にて決定し、12月6日の政策フォーラムにて400人弱で議論共有した。連合方針や中小共闘と連携して、賃金体系が明確な企業では2,500円(1%)、明確でない企業では7,500円以上を目標に設定した。電機(2,000円)やトヨタ(1,500円)より高いことに懸念の声もあるが、強い意思を持って取り組むことを確認した。時短について2009年までに総実労働時間2,000時間を切ることを目標に、割増率を、30%以下の組合は先ずは30%、30%を達成している組合は35%を要求する。割増率は春闘ではなく、夏から秋にかけての交渉にする。
 中国財貿軽紡烟草工会との定期交流で、隔年で代表団を中国に派遣しているが、今年は12月10〜16日の日程で代表団を派遣している。
全国農団労:12月6-7日の中執で春闘方針案BU1%を決定した。また、パートの待遇改善も要求する。割増率までを要求できる状況になく、まずは不払い残業代の一掃を目標とする。ワーク・ライフ・バランスや裁判員制度導入に伴う特別休暇などの要求の他、地域農業の活性化の提言を行う予定にしている。また、保険付加率も要求の対象としている。
 毎1月に、指導員レベルを30〜40人集めてマーケッティングの実務者研修を行っている。今年はイオンから話を聞いたが、来年はニチレイにお願いしている。サプライ・チェーンにおける日本の農業に対する期待などを勉強する。
サービス連合:業界の業績は都市部を中心に良くなりつつあるが、旬と目標は他産業に比べるとまだ低くせざるを得ない状況が続いている。11月21日の要求検討委員会で0.5%の賃上げ、35歳で1500円くらいとする方針案を決めた。35歳で550万円のモデルが目標。1月25日に中央委員会で決定する。総実労働時間に関しては1800時間に向けて取り組むための、労使による専門委員会の設置を要求する。時間外割増率は50%、休日は100%を要求する。また、企業内最低賃金を各企業おおむね100円アップを目指す。裁判員制度、次世代育成などに関しても統一要求とする。また、65歳までの定年延長を目指す。

5. 今後の予定
 JCC三役会・第3回運営委員会:2008年1月31日、味の素労働組合会議室

6. その他
 資料配布:UNI−LCJがPEのセミナー報告書(各組織1部ずつ)
 資料配布:雑誌記事「食糧自給率を激落させる『農政復古』の大罪」

協議事項
1. 香料ジアセチルの使用に関して

バター風味の香料であるジアセチルは、広く食品に使用されているが、合成ジアセチルを製造過程で使用している工場で、労働者が複数閉塞性細気管支炎で死亡していることがわかった。IUF本部から、ジアセチルの使用状況を特定する目的で加盟組織にアンケート調査の依頼が来ているが、JCC三役会の中では特定製品のボイコットなどのネガティブな行動に結びつかないように、慎重に進めるべきと意見があった。先ずは、JCC事務局として、食品安全委員会、厚生労働省、日本香料工業会などにヒアリング調査をして、その結果を見てから次のステップを検討する。


勉強会
「GUF間の協力について」:ITF和田茂アジア太平洋地域部長
1. 新しい段階に入ったGUFの協力関係

 ナショナルセンターの国際組織がICFTU、WCL、WFTUの分裂の時代から、ICFTUとWCLの歴史的統合によって、より広い連携の時代に入った。今までも、グローバル・ユニオンという枠組で、GUFはICFTUおよびOECD労働組合諮問会議(OECD-TUAC)との協力関係はあったが、新組織であるITUCとOECD-TUACとともに、より有機的な連携を構築する「グローバル・ユニオン協議会」を設置することとなった。
 グローバルユニオン協議会は、組織間のコーディネーションを行う目的で事務局機能を持たせ、事務局長に元ILO労働者活動局のヘッドを据えた。
2. IUFとITFの協力
 IUFとITFは以前から様々な協力関係にあった。事例としては、JALホテルが'89〜’90に米シカゴと、ニューヨークで買収した元エセックス・ホテルで争議を起こした際に、IUF-JCCとITF-JCCご合同で問題解決に当たった。他のホテルの争議でも、飛行機のクルーの契約ホテルの場合、契約の変更をITF加盟組織からの圧力として利用した例もある。
 ITFは昨年8月の世界大会で「グローバルな組織化」を今後4年の取り組み課題としたが、IUFも同様に組織化を総会テーマとして取り上げた。今までの両組織の枠組では組織化できなかった労働者や新しい分野の労働者などを、協力して組織化することが期待されている。
3. 具体的分野
1) 観光サービス
 ヨーロッパでは、EUの観光政策に対する提言を目的にITF、UNI、IUFの3つのGUFで欧州観光連絡委員会(ETLC)を設置し、IUFが事務局機能を担当して連携した活動を行っているが、他地域ではこうした連携がない。アジア太平洋地域でも、’95年にペナンで3組織の会議を行ったが、それ以降協力関係がないまま10年以上が経過している。
 今年10月12日、ロンドンで3GUFが観光関連の会議を行い、3組織の連携を、アジア太平洋地域を中心に他地域にも広げていくことを確認した。IUF-A/Pマ・ウェイ・ピン地域書記とも打ち合わせ、先ずはどんなニーズがあるか、どんな協力ができるか事務局を中心に少人数で特定してから、活動を展開することを申し合わせた。
 女性労働者の比率が高い産業分野であり、女性活動の活性化を図る上でも重要な分野であると認識している。
 ITF側では航空機やクルーズ船も観光産業と密接に結びついている。特にクルーズ船の客室サービス部門の労働者の多くがフィリピンやインドネシア人であり(カリブ海地域のクルーズ船で1万人のアジア人が働く)、彼らは陸に上がるとホテル産業で働くことが多い。こうした分野でのITFとIUFの協力関係は有効である。
 一方で、実際にコンタクトを行う組織の政治的な選り好みが障害となることも考えられる。例えば、インドネシアや韓国のITFの加盟組織には有力なホテル労組もあるが、IUFはコンタクトしようとしていない。
2) 航空ケータリング
 元々航空ケータリングは地場企業が多かったが、過去10年ほどでスカイシェフとゲートグルメの2社に集約されて、多国籍企業の台頭が著しい。これらの企業では、移民労働者や派遣労働者が多く、'05〜’06年にITFがイギリスのゲートグルメで経験した大争議でも、労働者の9割はインド、パキスタン、バングラデシュ系の女性労働者たちであった。ちなみに、同時期にIUFはデュッセルドルフのゲートグルメで同様に大争議を抱えた(プライベート・エクイティ・ファンド関連)。アメリカではUNITE HEREとTeamstersが協力してゲートグルメの労働者の組織化に当たっている。
 一方、日本では航空ケータリング部門は未組織である。しかし、この部門は他に代替できない産業であることから、組織化することにより交渉力を高めることになり、ITFとIUFが協力して組織化に取り組む価値のある分野である。
3) 水産加工と漁船員
 日本の漁船には外国人労働者は乗船できないが、人件費という視点で国際競争力が劣る。そこで、遠洋漁業では寄港地で外国人労働者を乗船させ、帰国前に再度降ろしてから戻るなど、法の抜け穴を利用している。また、ここ7〜8年では、日本船をベリーズなどの国にチャーターで貸し出した上で、傭船契約で労働者とセットで使用するという手段もあり、現在は6,000人ほどの外国人が日本船で働いている。
 近海漁業でもインドネシア人などが多く雇用されている。近海漁業は沿岸の町の地場での、かまぼこなどの水産加工と密接につながっており、その多くが研修目的で来日しているインドネシア人であり、ベトナム人、中国人、バングラデシュ人も多くなっている。
 海外に目を向けると、中国ではまだ外国人労働者を利用していないが、韓国、台湾、タイで日本と同じような状況になっている。特にタイ南部の沿岸部ではビルマ人やラオス人労働者が多く漁業や水産加工業に従事している。ITFはこれら労働者の組織化を視野に入れて、JILAFの協力を得てセミナーを実施しており、IUF加盟組織のプーケット・ホテル労連もこのセミナーに出席している。こうした場面でも、ITFとIUFが協力できると考える。
4) ロジスティックス
 食品産業にとって、輸送は重要な要素である。家具会社のイケアは国際建設森林労組(BWI)と国際枠組協約を持っているが、流通も含めたサプライ・チェーン全体の労働組合権を保障しているので、輸送部門も恩恵にあずかっている。こうした国際枠組協約をダノンや食品多国籍企業が締結することがITFにとっても重要である。また、コカ・コーラのようにセールス・ドライバーを有している食品企業も多いと認識しているが、そうした労働者の組織かも協力してできるのではないかと期待する。
4. 日本のITF加盟組織
 サービス連合はITF、IUF双方に加盟しており、観光部門での協力体制は構築しやすいと考えるが、それイガにも枠に囚われずに具体的な協力を模索したい。
5. 運営委員との意見交換
 メトロポリタン・ホテルなどの電鉄系の組織化状況について意見交換があった。これらホテルは、組織化されているところの多くはこれら電鉄系の組合組織に入っているが、和田氏からはIUFがもっとイニシアティブを取って、「ホテル産業はこっちに任せろ」といって組織化すべきとのコメントがあった。
 タイは外国人の労働組合結成を認めておらず、これら外国人労働者を対人の組合に入れる必要があるが、日本の労働組合も外国人労働者を自ら組織化していく必要がある。(UIゼンセン同盟のテンアライドは外国人労働者も組織している。)
 マルハ、ニッスイなど大手には外国人労働者はいない。また、既に海員組合などとの連携があるが、地場の小規模な職場を組織化していく必要がある。
 研修生の斡旋業者は、研修制度ができたときから怪しい業者が多い。一歩間違えば人身売買とかわらない。外国人の単純労働は認めないという建前と、漁業や水産加工などの地場産業をはじめとした低賃金の労働力不足という現実のギャップが、こうした研修制度の背景にある。
 魚の価格は上がらないし燃料費はあがる状況下で、外国人などの低賃金労働力が当てにできないと、漁船は日本の近海漁船は壊滅する。水産加工も行う家庭内の兼業漁業はまだ良いが、漁船を4-5隻持っている専業の漁業が最も打撃が大きい。
 ロジスティックスに関しては、自前の物流会社を抱える食品会社が多い。こうした物流会社は、食品労組のグループ労協などに入っているケースがあるが、必ずしも組織化されているわけではない。ITFでは運輸労連が物流会社の組合を組織しているが、570程の加盟単組があり、毎年50単組が会社の倒産で減り、50単組新たに増えているような状況にある。


以上