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Uniting Food, Farm and Hotel Workers World-Wide


誰の職場?ILOとネスレ

Posted to the IUF website 20-Jul-2010





ネスレ会長ピーター・ブラベックの最新ビデオインタビューは、レマン湖と雪をいただいたアルプスの山々を背景にスイス、ヴヴェーのネスレ本社のバルコニーで行われた。レポーターが、にこやかに微笑み、「ずいぶんえらくなられました」と言ったことに、ブラベックは、アイスクリームのセールスマンから世界最大の食品会社の長へ上り詰めたことを話した。ブラベックは、ほんの少しだけ他の人より良ければ(正確に5%と言明)昇進を避けることはできないと言った。

若年者失業率は、アルプスの景色をほんの少しの間、暗くした。ブラベックが欧州の若年者の高い失業率を悲嘆したからだ。ブラベックの解決策とは?状況の好転を待つ間、『学ぶのをやめない』と『偏見を持たない』だ。

レポーターは、ブラベックに最近の危機の間、ネスレの業績が良かったと言った。ブラベック(それを言う必要はない人だ)は、それを認めてにやりとした。そして、会社の長期勤続の従業員のロイヤリティを賞賛した。ネスレのCSR政策『共通の価値の創造』に話が移っていった。ブラベックは、これがビジネスモデルにとって欠かせないものだと説明した。「社会から何も盗んでいないので、社会に還元する必要はない」ブラベックは、共通の価値の創造を全く新しい物と表現した。レポーターが、CSRは常に、利益の形で会社に100倍になって戻ってくると断言すると、ブラベックは、晴れやかに微笑み、「素晴らしいものだ」と言った。

ブラベックは、共通の価値の創造における農村地帯の発展について少し説明した。「ネスレは学び、サプライヤーに技術援助、教育、小額融資を提供する」レポーターは、サプライヤー契約の条件に関して質問する必要性を感じない。話は、水とネスレの先駆的な役割に写っていく。レポーターは、国連水の10年があったが、物事を動かすのに民間部門のリーダーが必要だったと言った。ブラベックはわけ知り顔で微笑む。水の政策の実際の内容を話す必要はなく、時間がきて、インタビューの終わりになる。アルプスの山が最後にチラッと見え、レポーターは、「あなたは全てを経験されましたね」と言った

追従的でごますりジャーナリズムの創造性のない作品は、下手な素人臭さ以外は、まったく平凡なものだが、国連特別機関のILOが作成したものだ。

ブラベックとのおしゃべりは、我々の職場というILOシリーズに登場する。労働界の卓越した人物を特集するILOのコミュニケーション局が製作するウェブ上のテレビプログラムである。

このブラベックの我々の職場のエピソードには、実際の職場、労働者、組合、職場の権利、労使関係が一度も言及されていない。雇用創出に対する民間部門の貢献は、ネスレは言うまでもないが、失業の話の中で、ブラベックが見習いをもっと多く雇うようにしていると(おそらく公立教育制度からの)発言した意外は、完全に無視された。レポーターは、持続する高失業に対する解毒剤として学び続けるよう若年者に奨励することが仕事に関する世界協定にどう適合するか質問しなかったし、、またネスレによる農村地帯の発展が、ILOのディーセントワークにどう貢献するかの質問もしなかった。

ILOは、ネスレの水の政策が公益のために水の普遍的なアクセスの確保が目的なのか、あるいはネスレ製造所のサプライヤーのための確保が目的なのか質問できたはずだ。しかしそうしなかった。ブラベックが会社の従業員の長期勤続について述べた時、彼らはアウトソーシングや非正規化を通じて直接雇用が減少していく一般的な傾向の中でネスレはどうしているか質問できたはずだ。例えば、ネスレ製品を製造するものの、ネスレに直接雇用されず、ネスレ労働者の労組に加入できない労働者の数が増えていることについて質問できたはずである。ブラベックの元のセールスの仕事は、何年も前に外注化された。このキャリアパースは、他の多くの仕事と共に既に存在しない。CSRからの100%のリターンに熱狂せずに、ILOは、ネスレがグローバルレポーティングイニシアチブに遵守していると偽って主張する最近の共通の価値創造レポートの中に、従業員給与、手当て、非常用労働者への手当て拒否、従業員の転職率、団体交渉、業務変更に関する最低通告期間、税支払い額について言及がないのはなぜかを聞くことができたはずだ。あるいは、学び続けろという訓令を考慮に入れると、最新の共通の価値創造レポートの中で詳細に述べられている研修計画は、ヴヴェーにおけるトップレベルの経営者研修計画だけなのはなぜかと聞くことができたはずだ。

インタビュー者がILOの宣言使命である、職場の権利促進、ディーセント雇用の機会奨励、社会保護の強化、労働に関連事項の対話強化によって指導されていたならば、ビデオはある程度価値のあるものになっただろう。あるいは少なくとも演壇の背後の人格を少し照らしだだろう。ILOについて語る以外、このインタビューは、役に立たないどころか悪いものだ。世界でILOが重要な役割を果たすと信じる人々に対する侮辱である。

我々はブラベックが国連スポンサーの宣伝スポットを辞退しなかったことを非難していない。これは初めてのことでもないし、また国連制度のあらゆるレベルで企業の影響力が伸びていることを考慮すると最後にもならないだろう。しかし、ILOがその基準設置の役割の擁護に真剣であるならば、釈明が求められる必要がある。
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この記事が掲載されてから間もなく、説明なくビデオがウェブサイトから外されていたが、7月19日から再びビデオが見られるようになった。リンクは以下の通り。http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Broadcast_materials/Ourworkplace/lang--en/docName--WCMS_142633/index.htm