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労組は、欧州中央銀行の害をなす緊急援助を拒否しなければならない

13.09.12 Editorial
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投資家は喜んでいる。世界最大の金融機関集団の中央に位置する欧州中央銀行が無制限の国債購入を通じて、財政窮迫の欧州圏政府の支援を約束した。原則的に、これが金利を引き下げ、借り入れコストを緩和するはずだ。しかしこれは高い代償を伴う。中央銀行の援助を要請する政府は、公共部門の雇用と支出をさらに削減しなければならない。


欧州中央銀行ヨルグ・アスムッセン理事は、国債購入は、該当国が厳しい改革措置を取る時にのみ行うと強調した。これは欧州中央銀行の関与の必要前提条件だ。IMFのラガルド専務理事は、マクロ経済調整プログラムと付随する構造改革と財政改革の努力を国債市場と関連させる支援を歓迎して、アスムッセン理事のメッセージを強調した。

これは、今では良くあるパターンだ。瀬戸際外交は、欧州中央銀行が、欧州委員会とIMFと協定して行う(トロイカ) 公益事業、社会的な権利、団体交渉に対する大規模な攻撃で用いる武器である。危機が広がっていくすべての段階で、欧州中央銀行は、緊縮体制を強化するために最大のショックを生む介入のタイミングを計った。緊急援助の行われ方を見ると、投機攻撃は、完全に予想できる。しかし、金融上の『感染』の広がりは許されている。市場がスピンし制御不能になる恐れがあり、破局の差し迫りを脅かすメディアの援護射撃によって世論が麻痺した時に、ますますの公共支出の削減と規制緩和と引き換えに、欧州中央銀行が行動を起こす。

このシニカルで危険なゲームは、既に何百万人もの労働者に無用な苦難を負わせている。そしてもっと苦難があるだろう。労組は、明らかにこの害をなす救済薬を拒否して、政策の革新的変革と要求するべきである。
欧州中央銀行は、莫大な資力をおもいのままにできる。危機が広がるすべての段階で、資金を有し、投機家を食い止めるメカニズムを持っていた。また、緊縮の代替策の危機撲滅のための真正な手段、公共投資プログラムを支える資力を有する。政治家は、大規模な支出削減は、失業を増加させ、公共財政にさらに負担をかけることを知っている。引き続き行われた緊急救済で民間の損失の破滅的なコストを政府に吸収させた。彼らには学ぶ教訓と果たす使命がある。

今年はじめ、欧州中央銀行は、ほぼ無利子で1兆ユーロを民間金融部門に融資した。(何の付帯条件もなしに)この資金がいかに使われたかを示す公けの会計はまだでていない。(実際に欧州中央銀行は、全くわからないということを認めた) 一方で、救済を受けた国の国家財政は、苦痛の措置を確実に負わせるように微細にわたる精査を受け、欧州連合と国際協定に正式に記されている労働者の権利を廃止する法令がいとも簡単に課されている。

消えた1兆ユーロのみが、欧州圏の未解決のミステリーではない。例えば、2012年2月の債務再編(有名なヘアカット(債務元本の減免:訳注)でギリシャ国債の民間所有者が受けた影響はどうだったのか。これらの国債の多くが莫大な金利を生むために安く買われ、そして債務不履行スワップを通じて損失を保証された。誰が金を失い、誰が金をもうけ、今どうなっているのだろうか?どれだけおおくの富がトロイカの金融援助で恩恵を被っているといわれる国から吸い上げられているのだろうか。

こういった質問は、主流の話にはでてこない。主流の話によるとノンポリのテクノクラートが市場の匿名の勢力と取り組むために勇敢に闘っているということだ。実際、欧州中央銀行とその連盟は、政治的な課題に深く取り組んでいるが、その中心は、過去50年間に達成された社会の進展を逆行あるいは廃止することである。

まずは、さらに貧困を増加させる最新のプログラムを拒絶するために組織し、また反緊縮の抗議を高めて、この課題に挑戦し、勝利しなければならない。

金融制度は、より強固な規制とより厳しい実施が必要だ。より重要な質問は、何のための規制か?ということだ。過去4年間の危機の進展、解決せずに残っている危機は、金融を公共の監督と民主的な管理の下におく必要を示している。緊縮体制に対峙し、これをくつがえすことが、銀行を公共事業として運営するための戦いにおける最初の段階である。