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家庭の安全、職場の安全 - 暴力には毅然たる対応を

15.03.13 Feature
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『”国連-女性”の国別データによると、世界で10名のうち7名の女性が、人生のある時点で、身体的かつ・あるいは性的な暴力を経験している事実が浮かび上がる。統計は、女性や少女に対する暴力が普遍的な現象で、収入や階級、文化には無関係であることを示している。女性や少女に対する暴力の形式や種類には、身近なパートナーの暴力、早婚、強制結婚、強制的な妊娠、名誉犯罪、女性性器切除、女性殺害、パートナー以外の者による性的暴行、職場や他の組織や公共の場のセクハラ、人身売買、国家黙認の暴力、紛争状況における女性への暴力などが含まれる。複数の差別に直面する女性や少女の特定グループは、増加する暴力の危険にさらされている』

(出典:第57回国連女性の身分に関する委員会(UNCSW)への女性と少女に対する暴力防止に関する国連事務局長の報告書、2013年3月)

本報告書、『女性と少女への暴力防止』は、IUF世界女性総会(2012年5月、ジュネーブ)で、家庭、職場、社会で女性に対する暴力の増加に関して参加者が提起した懸念を反映している。

暴力増加の中には、世界金融危機、宗教の原理主義、他の過激派運動の台頭と関連しているものもある。しかし、宣言、条約、法律にある基本的な人権を実地に移すという政治的な意志の欠如が、女性への暴力増加を可能にしている。

女性に対する暴力に関する元特別報告者によると、女性への暴力の根本原因対応や防止義務に関してはほとんど何も行なわれていない。人権宣言の採択から65年、また女子差別廃止条約の採択から34年経った今も女性に対する暴力は、男女間の不均衡な力関係を最も野蛮に表したものである。

現在開催中の第57回国連女性の身分に関する委員会の主要テーマは、女性に対する暴力だが、イラン、ロシア、サウジアラビア、スーダン、バチカンなどの政府は、女性の最も基本的な人権に再び異議を唱えている。既に世界的に合意されている条約を弱め、傷つけようというこれら政府の努力は、断じて止めさせなければならない。文化、風習、伝統的な価値と慣行を基にした暴力の言い訳は許されない。国連女性の身分に関する委員会は、性的暴力を含む人権侵害に関して悪い記録を持つ政府と教会が女性の権利を攻撃し続けることを許すべきではない。

IUF平等アクションプログラムには、女性に安全でディーセントな職場の権利を勝ち取る闘いへのコミットメント、各職場でいじめとセクハラに関する政策の合意確保、家庭内暴力や職場内暴力に特に注意し、女性の安全衛生の対応継続が含まれている。

社会における最も民主的で代表的な勢力のひとつである労働組合は、ジェンダーを理由とした暴力の排除に重要な役割を担う。多くの政府が女性に対する暴力の根本原因への取り組みに消極的なことから、労働組合は、組合員の権利と個人の尊厳の保護の一環として職場におけるセクハラを含め、暴力の問題に取り組まなければならない。