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遺伝子組み換え作物にNO! IUFの見解

10.04.14 Editorial
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アフリカの少なくとも7か国で遺伝子組み換え作物(GMO)の栽培の試験栽培が行なわれており、その栽培の拡充を推し進める企業の最前線大陸としてアフリカが浮上している。この拡充を確かなものにするため、種子、土地、水および政治力の支配を確保して、集中的な推進が図られている。以下に、IUFアフリカ地域の安全衛生及び環境コーディネーター、オマラ・アムコ氏の関連記事を紹介する:

アフリカ連合は2014年を「農業及び食料保障年」と宣言した。アフリカ全土でこれを記念し、地域社会、政府及び組合など政府以外のプレーヤーが相互に交流を図り、農業政策や実践を形作る機会を与える年にしていく。

これまでの経験から、アフリカには農業開発と転換の巧妙な自前の枠組みがあることが証明されている。国連貿易開発会議(UNCTAD)や国連環境計画(UNEP)の調査によれば、アフリカ全土における有機農業は従来の方法より収穫高を上げ、所得も増やし、貧困を低減させ、また環境を保護できると結論づけている。また、影響力のある開発のための国際農業技術評価(IAASTD)も、アフリカ及びその他の経験に関して同様の結論付けをしている。

しかしG8食料保障及び栄養のためのニュー・アライアンスや、遺伝子組み換え作物をはじめ高入力の単一栽培を推進する多国籍企業を後押しするアフリカ各国の政府やエリートたちが先導する官民パートナーシップ(PPP)イニシアティブなどによって、アフリカの農業が損なわれる恐れがある。ヨーロッパの当局者、政策立案者、遺伝子組み換え作物賛成派のロビイストや科学者が先月エチオピアに集まり、この議題を推進するためアフリカ連合の役員や農業大臣たちと会合した。

1994年に設立されたビル&メリンダ・ゲイツ財団は、世界の農業政策に多大な影響を及ぼしている。ゲイツ財団は、アフリカ及びその他の途上国で遺伝子技術プロジェクトを公然と支援している一方、途上国の農民たちが収穫高を上げ所得を増やせる新技術の推進を主張している。ロックフェラー財団と共に、ゲイツ財団は莫大な資金をアフリカ・グリーン改革同盟(AGRA)に投じ支援している。AGRAはバイオ産業を含む科学者、経済学者及び企業リーダーのチームから構成され、理事長にはコフィ・アナン氏を置く。AGRAはアフリカ大陸を開放させ、モンサント、デュポン、シンジェンタなどの大手農薬会社がGM種子と農薬を輸出できるよう図っている。

GMOの新たな試験場としてアフリカを開放させるのを正当化するため、皮肉なことに飢餓が不当に利用されている。GM技術はアフリカの飢餓の解決策ではなく、むしろ、キャッサパ、雑穀、ソルガムなど選択されたアフリカの農産物の特許権を取り、富を吸い上げる搾取的投資である。遺伝子組み換え作物は広大な土地を必要とし、地元の農民から土地を取り上げてしまう(土地の争奪)。農民は毎年新しい種子を購入しなければならなく、さらにこれらの企業の種子に必要な毒性のある農薬も買わなければならない。これは多くの農民を借金に追いたてる。借金を背負った農民は農地を手放す可能性が高い。農地を失えば農村地帯の雇用が失われ、仕事を求めて人々が都市部へ大移動を始める。企業の掲げる農業モデルは雇用創出、貧困軽減より、むしろ貧困と飢餓を生み出す。

農業労働者は、農薬と除草剤の集中利用、化学肥料の使用拡大、そしてただでさえ乏しい水資源を食料生産の中でもGMO用に企業が要求することから、ますます苦境に立たされる。

我々はGMOの一時的禁止措置を求めたIUF24回世界大会の決議に従い、全ての加盟組織に、特にアフリカの加盟組織に、2014年を農業及び食料保障年として活用し、企業の圧力に抵抗し、アフリカへの遺伝子組み換え作物導入の圧力に屈しないよう政府に要請していただきたい。

アフリカにはすでに、農民の権利擁護とGMO反対支援同盟(COFAM)をはじめ、GMO反対キャンペーンを展開する組織がある。我々の加盟組織、ガーナ農民組合(GAWU)は、COFAMの設立メンバーである。我々はGMO反対キャンペーンに参加し、農業から小売フードチェーンの中でGM技術を推進する企業に焦点を当てるべきである。そして我々のメンバーに役割を果たしてもらうべく、彼らを教育し動員するべきである。我々がキャンペーンに参加し、我々の懸念をより広範囲な公の問題として発信するよう労働運動の外のグループに勧めることで、彼らから支援を勝ち取ることができる。我々は、食品加工企業に遺伝子組み換えのない作物を約束させる労働協約を交渉できる。これにより、この技術を推進する種子会社やそれを加工する多国籍企業、そしてアフリカの各国及び多国間の政治機関に対する圧力を増加させる。この作業全てにおいて、我々は予防原則に沿って対応できる。