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ナノマテリアルは新たなアスベストか?

20.06.14 News
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アメリカン・ジャーナル・オブ・インダストリアル・メディシンは最近の記事で、ナノマテリアルを扱う事から発生する職場の疾病を初めて詳細に記した。26歳の女性化学者が何の防護対策もない状態で実験台でニッケルのナノ粒子を検量していたところ、少量のこの粒子を扱い始めてから1週間も経たずに喉と鼻の症状と皮膚に炎症を発症した。短期間にほんの少量しか扱わなかったが、彼女の身体はニッケルに敏感に反応するようになった。このマテリアルの扱いを中止し他の階に移った後も彼女の症状は治まらず、この建物を完全に去って初めて症状が改善された。

この調査の共同執筆者は「彼女はあのビルの中で二度と働けない」と述べ、この案件をアメリカの生産施設でナノ粒子を扱う労働者が受けた深刻な健康被害の詳細を文書化した最初のものだと言った。

原子と分子レベルで自然及び合成の素材を操作した産物であるナノマテリアルは、より大きなものより反応が早い可能性が高いことから、そのサイズの特性からだけでも毒性が高い。ナノレベルの粒子の方が体内により容易に吸収され、血液脳関門を通過しやすい。ナノマテリアルの人体曝露や職場の内外における加工を制限・管理あるいは測定する手段はいまだにない。このような明らかなリスクにも拘らず、ナノマテリアルを含んだ新製品が急速に発表され、何千人もの労働者が規制されていない未確認の危険に曝露している。

アメリカのウッドロー・ウィルソン・センターの「新生のナノテクノロジーに関するプロジェクト」は、ナノマテリアルを含む食品が一日3~4品目出現していると推定する。フレンズ・オブ・アースの新たな調査(小さな原料、大きなリスク)には、コカ・コーラ、ダノン、ハーシー、ケロッグ、モンデリーズ、ネスレ、ペプシコ、ユニリーバを初め主要多国籍企業のラベル表示のないナノ素材を含む食品・スナック製品の膨大なリストが含まれる。これらの製品すべてにナノ二酸化チタンが含まれており、調査によればナノ二酸化チタンはDNAを傷つけ、細胞の機能と免疫システムの邪魔をし、吸い込むと発がん性を有する。

ナノテクは新たな形のアスベストなのか?アスベストがそうであったように時がたてばその被害は明らかになるが、我々はすでにリスクの可能性を知っている。直ちに職場の曝露に対する保護対策が必要だ。まず食品その他の製造会社は彼らが現在使用しているナノマテリアルとその応用、職場と環境におけるその安全性を確証するために行った調査とこの広範な危険性への曝露を制限する特別措置を、労働者、消費者及び規制当局に宣言しなければならない。ナノ製品と加工の商業化を禁止する必要性がかつてないほど喫緊に高まっている。