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バーガーキングの「借り入れワッパー」は、ファストフード貧困に対する公的補助金である

29.09.14 Editorial
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Fight415

アメリカ全土で9月4日、何千人ものファストフード労働者が低賃金労働と全国最低賃金の底上げの必要性を政治問題に推し進めるため、仕事を放棄し、市民としての不服従行動を取った(全文はSEIUのホームページを参照)。その直前、アメリカに本社のあるバーガーキングとカナダのティム・ホートンズが「ファスト・カジュアル」の合併案を発表すると、両社の株価は急上昇した。その関係とは?

この合併により、100ヵ国に18,000店舗、年間売上230億ドル規模で、(マクドナルドとヤム・ブランドに続き)世界第3位のレストランが生れることになる。市場はこれを絶賛した。しかし評論家は、より低い税金の管轄へ移るための合併あるいは買収として、またもうひとつの「反転」として非難した。そして彼らは正しかった。つまりカナダで法人化することは、この新会社にとって税負担が軽くなり、アメリカの収入によりアクセスしやすくなるのに加え、バーガーキングの未公開株式の大株主である3G(同社はAB AmBevとハインツも管理する)にとって配当とキャピタルゲイン税を軽減させることになる。もし合併が実現すれば、カナダに本社を置く新バーガーキングは今後何十年も低い税金を維持できることになる。しかし、低賃金のファストフード労働が他の公的補助金から得る利益の範囲に関して、この取引には別の税金を考える必要がある。

バーガーキングのワッパーは実態があるが、会社の成功は財務操作の産物である。バーガーキングは利益を押し上げるために税控除可能な借り入れを利用して、レバレッジド・バイアウトを何度も繰り返している。これらは全て公的歳入の損失を意味する。

3Gは2010年、40億ドルでバーガーキングを未公開株式オーナーから買収したが、自己資金はわずか16億ドルで、残りは借り入れで賄った。そしてレストランをフランチャイズに売却することでキャッシュフローを押し上げた。店舗数は39,000から2,400になった。費用はフランチャイズ先に移り、売り上げよりむしろロイヤルティとして3Gに収入が入るようになり、高金利の支払いには税控除を受けた。3Gはキャッシュフローを使い、別の投資ファンドとの取引を通じた偽装株式公開で自社株の30%を15億ドルで売却し、大部分の所有権を維持した。それから2年で、同社は無償で自社のものとなった。ビジネス・ウィーク誌は次のように言及する。「バーガーキングはキャッシュ・マシンになり、3G社はその一部のマネーを利用することをあえて隠そうともしていない」

ティム・ホートンズとの現金及び株式の合併案は、またもうひとつのレバレッジド・ワッパーである。115億ドルのうち95億ドルは新たな借り入れで資金繰りされる予定である。この95億ドルは、65億ドルの新たなローンと30億ドルの優先株で、今年のはじめにハインツのレバレッジド・バイアウトハインツと様々なプライベート・エクイティ・バイアウトに関してはここをクリック)で同様にタッグを組んだバークシャー・ハザウェイのウォレン・バフェットに9%支払う。

バーガーキングは新規ローンとバフェエトの優先株の他に、30億ドルの負債がまだある。少なくとも格付け会社の1社が、バーガーキングを信用格付け降格要注意リストに入れた。

株主と規制当局がこの取引を認めた場合、何年もの間利息が同社に重くのしかかるだろう。しかし3Gは現在収入の流れを拡大するべく、新たに巨大な借り入れをしている。彼らはキャッシュを搾り取り、バーガーキングで行ったティム・ホートンズでの一回限りの費用削減を実施し(ティム・ホートンズはすでに直営のレストランを数件所有するが)、最終的には彼らが16億ドルで買収した売り上げ230億ドルの新会社の51%の株式から、満足しながら退去する準備をしている。合併が実現するかしないかはこの点とは関係ない。我々はティム・ホートンズのドーナツをバーガー用のパンの間に発見する事も、バーガーキングの朝食メニューにティム・ホートンズのコーヒーを見ることも決してないだろう。負けるのは労働者と納税者なのだ。

昨年アメリカの大学が実施した調査によれば、ファストフード労働者とその家族が生活を維持するための公的社会支援は年間70億ドルになる。これは法人税の回避を織り込む前の数字である。バーガーキングの3G財務専門家は貧困をテコにしているが、そうしているのは彼らだけではない。次にファストフード労働者がストライキを始めたら、我々も皆、時給15ドルキャンペーンと組合及び税の公正を求めて彼らと共に闘うべきである。