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「持続可能なパーム・オイル円卓会議」で“破壊”が認定される

16.09.16 Feature
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労働・環境権利の擁護者たちは、人権侵害や環境破壊が蔓延する産業界の生産者認定の緩い基準について、持続的なパーム油生産を推進すると主張する組織、「持続可能なパーム・オイル円卓会議」(RSPO)を以前から批判してきた。大々的な森林破壊と関係する大手パーム油生産会社のマレーシア企業IOIグループは、は、取り消された認定を取り戻すためRSPOを訴えていたが、どうやら勝訴したようだ。

IOIは、インドネシアの環境破壊に関わる正式な苦情申し立てを昨年受け、20164月にRSPOから停止処分を受けていた。主要多国籍食品企業はIOIからパーム油の調達を止めると表明した。5月、IOIはその持続可能性認定を「不当に」取り消されたとし、RSPOを告訴した。6月、IOIは告訴を取り下げた。そして85日、RSPOは、独立審査により、現在IOIは同組織の環境基準を遵守していると言う根拠で、IOIの停止処分を解除しRSPO認定を返還した。

RSPOのウェブサイトの争議履歴は、この告訴について一切触れていない。

2013年のグリーンピース報告によると、「RSPOは持続可能性においてその会員に産業のリーダーであってほしいとしながらも、その基準は生産者に自由に森林破壊をさせるレベルのものだ」としている。また、レイン・フォーレスト・アクション・ネットワークもその年の後半、「RSPOの基準は、森林破壊と泥炭地の双方の拡大を持続可能と認定且つ支持しているため、不十分である」と結論付けた。

同様にRSPO認定は、労働者が労働組合を結成したり加入したりする権利を含む、基本的な人権を全く確約していない事が、実は生産者によって尊重されている。

10年以上前、RSPOが設立されて間もない頃、IUFRSPOの理事メンバーであるインドネシアのムシム・マス・グループに帰属する農園の労働者グループを弁護した。組合が設立されると、同社は701名以上の組合員と役員を一気に解雇し、労働者とその家族を農園の住宅から追い出し、彼らの子供たちを学校から退学させるという対応を取った。同社は交渉を開始するともっともらしい理由で主な組合役員を精製所の事務所に呼び出し、地元警察と画策して彼らを逮捕させた。組合役員たちは農園の組合を結成する彼らの権利を行使しようとしたという罪で有罪となり、最長2年間の懲役刑を受けた。

基本的人権に対するこれらの大々的な侵害に直面しながら、RSPOはムシム・マスに対して行動を取ることを拒否した。2012年、ムシム・マスはRSPO100%認定を獲得した。

RSPOの新認定基準は、分離・特定されていないパーム油の100%トレーサビリティーと取引認定書を確約するが、トレーサビリティーは精製所でストップする。RSPO認定に依存している企業は、どの農園からのパーム核油なのか特定する手段がないため、サプライチェーンで人権侵害や環境破壊が起きていないことを確信を持って主張できない。そしてIOIのケースからわかるように、侵害が立証されても、パーム油生産者は告訴すれば円卓会議の席(及び認定)を回復できてしまう。

バイヤーには注意を払ってもらいたい。