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LSGスカイ・シェフが派遣労働者の実質使用者であると、ニュージーランド雇用裁判所が判決を下す

21.12.17 Feature
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ニュージーランド雇用裁判所は、航空ケータリング大手LSGスカイ・シェフに雇用されている2名の派遣労働者を代表してIUF加盟組織E Tūが提起した訴訟に対し、重大な決定を下した。ニュージーランドの法律では、労働者は彼らが従業員であるという宣言を求める権利を有し、それに伴いそのステータスが提供する法的保護の権利が得られる。

組合は裁判所に対し、彼らが虚偽の「独立契約者」ではなく、従業員であると宣言し、実質の使用者はLSGスカイ・シェフであると断言するよう要請し、裁判所はこれに同意した。これにより、この労働者たちは未払い賃金を請求できる。

Etūの副書記長、ジョン・リアル氏は次のように述べた。「LSGで働く派遣労働者たちにとって大きな勝利です。これで組合員である彼らも、直接雇用の労働者向けのLSG労働協約に含まれるより良い賃金と条件の権利を得ることができました。そしてこれは、同社に直接雇用されず、そしてニュージーランドの雇用法の下権利をはく奪された多くの労働者にとっての勝利です」。

判決文には、搾取における法的暗黒化の典型的な事例が挙げられている。それは、派遣労働者は「独立契約者」であるというありがちな主張に内在する虚構を露呈させ、三角雇用関係では、契約法の形式ではなく、労働者を事実上管理している会社が本当の使用者であると決定づけると主張している。

この二人の労働者は、LSGスカイ・シェフで長年継続してフルタイムで働いてきた。彼らは法定最低賃金、あるいはほんのわずかそれを上回る賃金しか得ておらず、また休暇、病気休暇や年金の権利も与えられず、けがに対する保険も自分たちで支払わなければならなかった。

公判中、LSGスカイ・シェフは契約労働者の存在の多さを、業務量の「季節による変動」に対応するためだと説明した。しかし裁判所は、この主張を支える根拠がないと言及した。むしろ長期にわたる数字を見ると、一定の高いレベルでの労働時間のパターンが一貫して反映されていると述べた。

裁判所は次のように言及した。「派遣労働の制度は明らかにLSGに適していた。つまり同社は雇用関係に付きものの責務や負担によって煩わされなかったことを意味する。同時に作成された資料が示す通り、もう一つ確認された副次的利益があり、それはソルーションズ社の労働者たちがLSGの従業員によるストライキ中も働くことができることである」。

LSGは雇用偽装から発生する可能性のある法的リスクがだんだん心配になり、潜在的なあらゆる法的責任、つまりコストを、派遣会社のソルーションズ・パーソネル・リミッテドに振ってしまう取り決めを派遣会社と交渉しようとした。そしてそのような問題はソルーションズ社によって直ちに、自費で対応・解決されるもので、ビジネスあるいは社会の中でLSGの評判に影響を及ぼすレベルに至ってはならないと、裁判所の資料に含まれていた。

LSGは、労働者たちが継続して長年勤務しているにもかかわらず、うわべでは「季節による業務量の変動」に対する派遣雇用だとしてきたことから発生する可能性のある問題について、明らかに心配した。LSGはソルーションズに次のように書いた:「長期勤務してきた労働者の一部を契約終了にし始めて,ほかの者に入れ替えてもらえませんか?毎週最低1名ずつ置き換えてくれれば、あとはそちらのペースにお任せします」。 その6日後、LSGは再びソルーションズに連絡を取り今度は、多数の勤続年数の長い労働者は「解約しなければならない」と伝えた。これで契約解除された労働者の一人がリウトファガ・トゥライさんで、彼女は「解雇」される前はLSG4年間、週に最大62時間以上働いていた。

裁判所は、これらの労働者たちが「独立契約者」だという「非現実的な」主張を次のように退けた:原告はLSGの事業に組み込まれている; 彼らはLSGの従業員と一緒に、全く同じユニフォームを着て、完全に同じ仕事をしていた; 唯一の違いは目に見えないもので、それは彼らの給与が従業員より低かったことである。

しかし、卓越した裁判所の判決が限定的な法的枠組みの中で言及できなかった事がもう一つある。それは、この仕組みが派遣労働者の基本的人権を侵害したという事である。