Home

いくらうわべが変わっても:ハインツとプライベートエクイティの買収の変化

14.03.13 Editorial
Printer-friendly version

年内に株主から承認を得るのを条件に、ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイとブラジルの3Gキャピタルは、食品業界の大手ハインツを280億ドルで取得する。これは、工夫を加えたプライベート・エクイティの買収である。『57種の』というフレーズで売り込んできた会社にとっては妥当であるが、ハインツの労働者が被る影響は、レバレッジド・バイアウトで労働者が長い間、経験してきたものと同じだろう。すなわち、投資家が金を最後の一銭までも搾り取るために労働条件と雇用にかける熾烈な圧力である。

280億ドルの値札には、120億ドルの新規債務と引受け債務が含まれ、これは購入価格の『ほんの』42.8%である(この比率は十分キャッシュフローを制約するが、80%にも及ぶ資金借り入れなどを伴ったプライベート・エクイティ大型取引のこれまでの基準からすると低い)。しかし、この価格にはバークシャー・ハサウェイに対する9%利回りの優先株と、今後、合意価格で株式を購入できるオプションの80億ドルも含まれている。これを隠れたレバレッジとみなすと、負債率は急激に上がる。プライベー・トエクイティファンドは、会社を非公開にした後に新規の負債を借り入れるために配当の資本再構成(リキャップ)に工夫を凝らし、最初からリキャップを組み込まれている。当然バークシャー・ハサウェイは、配当金増加を求めるオプションを行使できることになる。

ハインツは配当金を確実に毎年、さらに2008年の金融破綻以降は四半期ごとに増額させる一方で、新たな余剰人員整理とアウトソーシングで常に利益増加に祝杯を挙げている。追加の負債と会社に支払った20%のプレミアム、そしてバークシャーの確定配当で圧力が増加する。

バークシャーと3Gはそれぞれ20億ドルを株式にあてたが、バークシャーだけが優先株80億ドルを得て、バフェット氏は、3Gとは全く異なる条件でハインツの彼の持分を買った。このためファイナンシャル・タイムズの解説者は、バフェット氏がこのレバレッジド・バイアウトで自身以外の全員をレバレッジした(利用した)と軽口を叩いたほどだ。実際は、製品を製造し、利益を生む労働者を、バフェット氏と3Gが共同で利用したのだ。これは、すべてのリスクが労働者に転嫁されるという、見慣れた方式である。

バフェット氏が、3Gに会社の運営を任せると発言した事実は労働者にとって慰めにはならない。3Gは、ブラジルのビール会社を情け容赦ない経費削減を通じて世界の大企業AB InBevに建ち上げ、前所有者のプライベート・エクイティ・コンソーシアムからバーガーキングを買収した時、金をもっと搾り取ろうとした。フォーブズ誌のハインツ買収に関するインタビューを受けた銀行家は、「この人たちは、事業で手を汚している」と感心してコメントした。

いくらうわべが変わっても、本質は変わらない。巨額の負債は、企業買収と労働者を犠牲にして投資家のために金を搾り出す手段である。これは、抜本的なメカニズムに対抗する規制が敷かれるまで変わらない。その間、ハインツ労働者は、守備を固めなければならない。