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ファイナンシャルタイムズによるキャドバリーの調査で租税回避の複雑な構造が発覚―モンデリーズと債務助成を詳細に調査する時

28.06.13 Editorial
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6月21日の英国のファイナンシャルタイムズは、元クラフ・トフーズ(現在は、スナックのグローバル巨大企業、モンデリーズ)に2010年に買収される前のキャドバリーが複雑な租税回避制度を利用していたことを広範囲に調査した結果を報告した。この調査では、おなじみのタックスヘイブンの利用をはるかにしのぐ様々な制度が発覚した。

『マルティ二』などの暗号名のオペレーションがでっち上げられ、ここではペーパーカンパニーが、架空の利子を発生させるために融資に見せかけた急造の金融商品の取引を行った。この結果、キャドバリーは、10億ポンドを超える売上げで、1億ポンドの利益を生んだ英国事業の法人税として640万ポンドしか払っていない。

現所有者は、キャドバリーの買収後すぐにキャドバリー本社を税金の低いスイスに移転した。スイスでは、親会社は、製品販売を製造品販売としてではなく、知的財産所有権から発生する税率の低い『ロイヤリティ』として会計処理できる。ファイナンシャルタイムズは、この移転から生じたと懸念される公共歳入の損失は過大評価であると示唆している。というのは、同社は、既に納税額を減らしているからである。誰か実際に記録を見て、計算をしたのだろうか?

これは、もちろん、容易な作業ではない。ファイナンシャルタイムズの調査で発覚したように、この制度は複雑だからである。しかし、国家歳入回避に関する最近開催されたG8会議を背景に、この計算をするのは役に立つことである。

ケイマン諸島や他の場所に置かれるペーパーカンパニーは、この話のごく一部に過ぎない。ファイナンシャルタイムズの調査は、いかにキャドバリーの拡大と最低限の税負担が、税控除可能な負債によって支持されたかをはっきりと示している。キャドバリー同様、クラフトは、借入れによって成長し、会社に株式を買戻させ、配当金を増加させ、役員報酬を膨張させ、新株式の発行なしに納税額を最小にさせた。より大きな、そして既に多額の負債を抱えるクラフトが、キャドバリーを飲み込むために新しい借り入れをした。モンデリーズは北米クラフトを完全に分社化した後の最初の規制上のバランスシートで、長期負債220億9000万ドルと株式総額252億9000万ドル、負債資本率87.3%を申告した!世界のモンデリーズ労働者は、この負債の利息を払っている。

資本より負債に味方する税制は、会計パラダイスの門を開き、公共歳入をひもじくさせる。政府およびG8のような実力者会議は、公共財政を企業略奪者から救うことに真剣であるならば、この道理に合わない規制上の助成を終了させるべきである。