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NUWがオーストラリア最大の鶏肉生産会社で復職を勝ち取り、偽装雇用の仕組みを暴露させる

24.12.14 Feature
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NUWは、安全衛生の深刻な侵害やその他の権利侵害の履歴を持つオーストラリア最大の鶏肉生産会社バイアダの条件を改善するべく、着々と組織化を進めてきた。2011年、NUWは同社のラバトンにあるビクトリア工場での厳しいストライキに勝利し、非正規労働者の同等賃金レートを勝ち取った。その後組合は正規雇用、より安全な職場及びより良い鶏肉の生産を勝ち取る目的で、産業界全体で「より良いチキンのためのより良い仕事」キャンペーンを立ち上げ、現在も続けている。

 カンボジアからの移民ペドロ・ヴァネアさんは、201110月から南オーストラリア州のウィングフィールドにあるバイダ工場で骨処理担当として働き始めた。しかし彼はバイアダの直接雇用ではなく、同社の契約会社ロイヤル・ベイ・インターナショナルに雇われた。ロイヤル・ベイ・インターナショナルは各地のバイアダ工場に労働者を供給しているが、ペドロさんの場合、会計士を通じて独立会社としてペドロ・ヴァネア社を設置させている。従ってペドロさんは「独立契約者」に設定され、仕事の連絡は寸前にメールで知らされ、雇用の保障はなく、出来高払いで、その額はしばしば法廷最低賃金を下回る時給になる。「独立契約者であるため病気休暇もなく、労災や有休もない。

 201312月、ペドロさんは職場で事故に遭ったが、同じような立場の同僚の多くのように仕事を回してもらえなくなることを恐れ、事故の事を報告しなかった。しかし彼は土曜日の出勤を2度(どちらも直前の連絡)断った。20131228日、彼は次のようなメッセージを受け取った:「土曜出勤を連絡もなく2回拒否したところを見ると、あなたは仕事の事をどうでもよいと思っているようですね。それならば我々はもうあなたを必要としないので、もし今後あなたが必要になったらこちらから電話します」

 しかしその前にペドロさんは組合に加入しており、組合はこの件を深刻にとらえ、復職と失った賃金の全額補償を求めて公正労働委員会に提起した。ロイヤル・ベイ社は、ペドロさんは社員でなく「独立契約者」だと強く主張した一方、同社は彼らが「あまりにもバカ」だとして一度も下請け契約書を発行していないことを認めた)。

「ペドロさんの仕事の性質は明らかに雇用関係を示している」ことを確認し、 公正労働委員会は次のように記述した。「究極の質問は、その労働者が常に会社に仕えているのか、または自分自身で職業や事業を実施しているか、である。当事者は相互の関係の本質をラベルを張り変えるだけで変更できない。つまり当事者はお互いの関係を真実でないものと見なすことはできないという事だ」。ペドロさんは社員であり、契約労働者ではない。従って不当解雇から守られる対象となる。委員会は未払い賃金を全額伴った復職を命じた。

Pedro

 しかし話はここで終わらない。骨処理担当は自分たちで道具を用意しなければならず、400500豪ドルの投資となる。ペドロさんは解雇になる前、骨処理用の自分の道具を職場のロッカーに入れておいた。しかし解雇通知をメールで受け取ったため、彼はその道具を回収することができなかった。解雇後、組合からバイアダ社に彼の道具を本人に返すよう定期的に連絡していた。バイアダ社はようやく返事をしてきたが、その用具は「なくなった」というものだった。ペドロさんが仕事に戻ったとき、組合はロイヤル・ベイとバイアダ社に必要な道具を彼に与えるよう主張した。ペドロさんに与えられたのは、切れ味の悪いナイフと質の悪い砥道具だったため、彼の能率に影響し、懲戒処分の口実にされたようだ。組合は再び強く対応し、ペドロさんに適切な道具が与えられた。ペドロさんの勝利により、ウィンフィールドをはじめバイアダの他の工場で組織化が加速した。NUWの役員、アレックス・スノーボールは、「この件で偽装契約協定に光が当てられたので、この裁決は同様の契約協定を交している全国のバイアダ工場の労働者に派生するだろう」と述べた。

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